【PMDA承認情報】2025/09/29 医薬品承認一覧
| 製品名 | 承認区分 | 効能効果 | PMDA |
|---|---|---|---|
| ヨビパス皮下注168μgペン/皮下注294μgペン/皮下注420μgペン | 承認 | 副甲状腺機能低下症 | 詳細 |
| テセントリク点滴静注840mg/点滴静注1200mg | 承認事項一部変更 | 再発又は難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型 | 詳細 |
| ネクセトール錠180mg | 承認 | 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症 | 詳細 |
| プルヴィクト静注 | 承認 | PSMA陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌 | 詳細 |
| ロカメッツキット | 承認 | PSMA標的療法の前立腺癌患者への適応判定の補助 | 詳細 |
| ガリアファーム 68Ge/68Gaジェネレータ | 承認 | 詳細 | |
| セタネオ点眼液0.002% | 承認 | 緑内障、高眼圧症 | 詳細 |
今回の承認では、これまで対症療法しかなかった副甲状腺機能低下症に対する本邦初のPTH補充療法(ヨビパス)、去勢抵抗性前立腺癌に対するPSMA標的放射性リガンド療法の診断・治療パッケージ(ロカメッツ/ガリアファーム+プルヴィクト)、スタチンとは異なる機序のACL阻害による経口LDL-C低下薬(ネクセトール)、難治性NK/T細胞リンパ腫に対する免疫チェックポイント阻害薬の適応拡大(テセントリク)、そして緑内障・高眼圧症に対する新規点眼薬(セタネオ)が承認された。特にPSMA標的のセラノスティクス(診断+治療)の国内導入と、副甲状腺機能低下症への初の病因治療薬が臨床的に大きなインパクトを持つ。
ヨビパス皮下注168μgペン/294μgペン/420μgペン(パロペグテリパラチド)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | パロペグテリパラチド |
| 申請者 | 帝人ファーマ |
| 承認区分 | 新有効成分含有医薬品 |
| 効能・効果 | 副甲状腺機能低下症 |
| 用法・用量 | 1回18μg(PTH(1-34)として)を開始用量とし、1日1回皮下注射。血清Ca濃度を管理しながら1日6〜60μgの範囲で3μgずつ増減 |
| 特記事項 | 希少疾病用医薬品指定 |
今回の承認で何が変わるか
副甲状腺機能低下症の治療は、従来活性型ビタミンD3製剤とカルシウム製剤の併用による対症療法が唯一の選択肢であった。これらは低カルシウム血症を改善できるものの、骨代謝回転の低下や腎でのカルシウム再吸収・リン排泄の障害には対応できず、長期使用により腎結石症・腎不全・異所性石灰化のリスクが増加するという課題があった。
今回承認されたヨビパスは、本邦初のPTH補充療法である。不足しているPTHそのものを補うことで、単なる血清Ca値の補正にとどまらず、骨代謝回転の正常化や腎でのカルシウム・リン代謝の改善が期待される。従来の「対症療法」から「病因に基づく治療」へのパラダイムシフトとなる。
臨床的ポイント
- PEG化PTH(1-34)のプロドラッグであり、皮下投与後にリンカー開裂によりPTH(1-34)が持続的に遊離する設計。これにより1日1回の投与で安定した血中PTH濃度が維持される
- 用量調整は3μgずつと細かく設定されており、血清Ca濃度のモニタリングに基づく個別化が求められる。初回投与後・用量変更後は7〜14日を目安に血清Ca測定を行う
- 海外では2023年11月の欧州承認以降、米国・英国を含む31カ国で承認済み
- 原体は毒薬に該当(製剤は該当せず)。ペン型デバイスでの自己注射が想定される
- 再審査期間は10年。患者数は術後副甲状腺機能低下症が約31,725人、特発性等の非外科的病因が約2,300人と推計されている
テセントリク点滴静注840mg/1200mg(アテゾリズマブ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | アテゾリズマブ(遺伝子組換え) |
| 申請者 | 中外製薬 |
| 承認区分 | 新効能医薬品・新用量医薬品(一部変更承認) |
| 追加効能 | 再発又は難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型 |
| 用法・用量 | 成人:1回1,200mgを3週間間隔で点滴静注 / 12歳以上の小児:1回15mg/kg(最大1,200mg)を3週間間隔 |
今回の承認で何が変わるか
節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型は、EBウイルスと関連する希少な悪性リンパ腫であり、再発・難治例に対する標準的な薬物療法は確立されていなかった。今回の承認により、再発・難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型に対して抗PD-L1抗体が使用可能になった。
特筆すべきは、12歳以上の小児にも適応が認められた点である。小児例については全症例を対象とした使用成績調査が承認条件として付されている。
臨床的ポイント
- テセントリクとしては肺癌、肝細胞癌、乳癌、胞巣状軟部肉腫に続く効能追加であり、初のリンパ腫領域への適応拡大となる
- 単剤療法として承認されており、他の抗悪性腫瘍剤との併用は不要
- 再審査期間は4年
- 小児適応が認められたことで、12歳以上の若年患者に対しても体重換算での投与が可能となった
ネクセトール錠180mg(ベムペド酸)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | ベムペド酸 |
| 申請者 | 大塚製薬 |
| 承認区分 | 新有効成分含有医薬品 |
| 効能・効果 | 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症 |
| 用法・用量 | 1日1回180mgを経口投与 |
今回の承認で何が変わるか
高コレステロール血症に対する薬物療法は、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を中心に、エゼチミブ(小腸コレステロール吸収阻害)、PCSK9阻害薬(注射薬)などが使用されてきた。今回承認されたベムペド酸は、コレステロール生合成経路においてHMG-CoA還元酵素の上流に位置するACL(ATPクエン酸リアーゼ)を阻害する、本邦初のACL阻害薬である。
スタチン不耐の患者や、スタチン最大用量でもLDL-C管理目標を達成できない患者にとって、経口剤として新たな選択肢が加わることになる。
臨床的ポイント
- 肝臓で代謝活性化されるプロドラッグであり、ACLを阻害することで肝臓のコレステロール生合成を抑制し、LDL受容体の発現を増加させてLDL-Cを低下させる
- スタチンとは異なる作用機序であるため、スタチンとの併用による上乗せ効果が期待される。また、スタチン不耐患者への代替選択肢となり得る
- 1日1回180mgの固定用量であり、用量調整が不要でシンプルな処方が可能
- 海外では欧米を含む39の国・地域で承認済み
- 再審査期間は8年
プルヴィクト静注(ルテチウムビピボチドテトラキセタン(¹⁷⁷Lu))
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | ルテチウムビピボチドテトラキセタン(¹⁷⁷Lu) |
| 申請者 | ノバルティスファーマ |
| 承認区分 | 新有効成分含有医薬品 |
| 効能・効果 | PSMA陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌 |
| 用法・用量 | 1回7.4GBqを6週間間隔で最大6回静脈内投与。患者の状態により適宜減量 |
今回の承認で何が変わるか
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対しては、アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)やタキサン系化学療法が使用されてきたが、これらに不応となった患者への治療選択肢は限られていた。
今回承認されたプルヴィクトは、**本邦初のPSMA標的放射性リガンド療法(RLT)**である。前立腺癌細胞表面に発現するPSMAにリガンドが結合し、細胞内に取り込まれた後、¹⁷⁷Luから放出されるβ線が腫瘍細胞を選択的に傷害する。従来の殺細胞性化学療法とは全く異なるアプローチであり、ARSI・タキサン治療後の患者、あるいはタキサン導入を遅らせたい患者に新たな治療選択肢を提供する。
臨床的ポイント
- 投与にはPSMA-PET/CTによるPSMA陽性の確認が必須であり、後述のロカメッツキット+ガリアファームによる診断とセットで使用される(セラノスティクス:診断+治療の一体型アプローチ)
- 海外第III相VISION試験(ARSI+タキサン治療歴あり)およびPSMAfore試験(ARSI治療歴あり)の成績に基づく承認
- 放射性医薬品であるため、投与施設の要件(放射線管理体制)や退出基準への対応が必要
- 主な副作用として骨髄抑制(貧血、血小板減少、白血球減少)に注意が必要
- 原体・製剤ともに劇薬に該当
- 海外では49の国・地域で承認済み。再審査期間は8年
ロカメッツキット/ガリアファーム⁶⁸Ge/⁶⁸Gaジェネレータ
| 項目 | ロカメッツキット | ガリアファーム |
|---|---|---|
| 一般名 | ガリウム(⁶⁸Ga)ゴゼトチド(標識後) | ガリウム(⁶⁸Ga)ジェネレータ |
| 申請者 | ノバルティスファーマ | Eckert & Ziegler Radiopharma GmbH(選任製造販売業者:ノバルティスファーマ) |
| 承認区分 | 新有効成分含有医薬品 | 新有効成分含有医薬品 |
| 効能・効果 | PSMA標的療法の前立腺癌患者への適応判定の補助 | PET用被標識用製剤の⁶⁸Ga標識 |
| 用法・用量 | ⁶⁸Gaゴゼトチドとして111〜259MBqを静注し、50〜100分後にPET撮像開始 | 溶出用0.1mol/L塩酸で⁶⁸Ga溶液を溶出し、被標識用製剤の標識に使用 |
今回の承認で何が変わるか
プルヴィクト(¹⁷⁷Lu-PSMA-617)によるPSMA標的治療を行うには、事前にPSMA発現を画像診断で確認する必要がある。今回、PSMA-PET/CTを実施するための診断薬(ロカメッツ)と、その標識に必要なジェネレータ(ガリアファーム)が同時に承認されたことで、プルヴィクトと合わせたセラノスティクスの国内実装基盤が整った。
従来、本邦ではPSMA-PETの実施体制が限られていたが、今回の承認により、「PSMA-PETによる診断→プルヴィクトによる治療」という一連のワークフローが保険診療の枠組みで利用可能になる。
臨床的ポイント
- ロカメッツはPSMAリガンド(PSMA-11)の凍結乾燥キットであり、ガリアファームから溶出した⁶⁸Gaで用時標識して調製する
- ガリアファームは⁶⁸Ge/⁶⁸Gaジェネレータであり、⁶⁸Geの半減期(約271日)を利用して⁶⁸Ga(半減期約68分)を繰り返し溶出可能
- ロカメッツの原体・製剤は毒薬・劇薬非該当、ガリアファームの原体・製剤は劇薬該当
- 両製品ともに再審査期間は8年
- 海外ではロカメッツが米国・欧州を含む7の国・地域、ガリアファームが欧州を含む8の国・地域で承認済み
セタネオ点眼液0.002%
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 承認区分 | 新規承認 |
| 効能・効果 | 緑内障、高眼圧症 |
今回の承認で何が変わるか
緑内障・高眼圧症に対する新たな点眼薬として承認された。緑内障領域ではプロスタグランジン関連薬やβ遮断薬、ROCK阻害薬など複数の薬効クラスが存在するが、セタネオの承認により治療選択肢がさらに拡充される。
臨床的ポイント
- 0.002%という低濃度製剤であり、有効成分の力価が高いことが示唆される
- 詳細な薬理学的特性および臨床試験成績については、電子添文・インタビューフォームを参照されたい