【PMDA承認情報】2025/10/20 医薬品承認一覧
| 製品名 | 承認区分 | 効能効果 | PMDA |
|---|---|---|---|
| ワイキャンス外用液0.71% | 承認 | 伝染性軟属腫 | 詳細 |
| ドルミカムシロップ2mg/mL | 承認 | 麻酔前投薬 | 詳細 |
| ライアットMIBG-I131静注 | 承認事項一部変更 | MIBG集積陽性の神経芽腫 | 詳細 |
2025年9月 新規承認医薬品の解説
2025年9月の薬事審議会において、注目すべき3品目が承認されました。伝染性軟属腫(水いぼ)に対する初の外用治療薬「ワイキャンス」、小児の麻酔前投薬にミダゾラム経口製剤という新たな投与経路を提供する「ドルミカムシロップ」、そして131I-MIBGによる神経芽腫への適応拡大となる「ライアットMIBG-I131静注」です。いずれも従来の臨床現場における治療選択肢の不足や投与経路の制約を解消する承認であり、特に小児領域でのアンメットニーズに応える内容となっています。
ワイキャンス外用液0.71%(カンタリジン)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 承認区分 | 新規承認 |
| 効能・効果 | 伝染性軟属腫 |
今回の承認で何が変わるか
従来、伝染性軟属腫(水いぼ)の治療は、ピンセットによる摘除が主な選択肢でした。この処置は特に小児において強い疼痛を伴い、多数の病変がある場合には患児・保護者双方にとって大きな負担となっていました。自然治癒を待つ経過観察も選択肢の一つですが、数カ月〜数年を要することがあり、その間の感染拡大や社会的制約(プール制限等)が課題でした。
ワイキャンス外用液は、カンタリジンを有効成分とする外用薬であり、伝染性軟属腫に対する本邦初の適応を持つ外用治療薬です。医療機関で患部に塗布する形式の治療法であり、ピンセット摘除のような侵襲的処置を必要としません。
臨床的ポイント
- 伝染性軟属腫に対して承認された外用薬は本邦初であり、治療選択肢が大きく広がる
- 小児に対する処置時の疼痛・恐怖の軽減が期待できる
- 多発性病変に対しても塗布で対応できるため、繰り返しの摘除処置の負担を軽減しうる
- 医療機関での塗布が基本となるため、適切な使用方法・塗布後管理について添付文書を確認すること
ドルミカムシロップ2mg/mL(ミダゾラム)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 承認区分 | 新規承認(新投与経路医薬品) |
| 申請者 | 丸石製薬株式会社 |
| 効能・効果 | 麻酔前投薬 |
| 用法・用量 | 通常、小児にはミダゾラムとして1回0.25〜1.0 mg/kg(最大用量20 mg)を麻酔開始前に経口投与 |
| 特記事項 | 特定用途医薬品指定 |
| 再審査期間 | 5年10カ月 |
今回の承認で何が変わるか
ミダゾラム(ドルミカム)は注射剤として麻酔前投薬の適応を持っていましたが、小児に対する経口製剤は本邦で承認されていませんでした。従来、小児への麻酔前投薬としてのミダゾラム投与は筋肉内注射に限られており、注射自体が患児の不安や啼泣を助長するという矛盾を抱えていました。
臨床現場では、国内の診療ガイドラインや海外の成書においてミダゾラムの経口投与が推奨されていたにもかかわらず、承認された経口製剤が存在しなかったため、注射剤の経口転用という適応外使用が行われていた実態がありました。
今回、日本小児麻酔学会からの開発要望を経て、小児に対するミダゾラム経口シロップ剤が正式に承認されました。これにより、従来の適応外使用から正規の承認製剤による投与へと移行できます。
臨床的ポイント
- 対象は小児:成人への適応はなく、小児の麻酔前投薬に特化した製剤
- 投与量:0.25〜1.0 mg/kg、最大20 mg。体重に応じた用量調節が必要
- 製剤特性:シロップ剤(2 mg/mL)で服用しやすい剤形。スクラロース等の甘味料を含有し、小児の服薬コンプライアンスに配慮
- 保存条件:褐色ガラス瓶入り、室温保存、有効期間24カ月。光に不安定なため遮光保存が必要
- 規制区分:製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当しない(注射剤のドルミカムは向精神薬第2種であるため、経口製剤の規制区分との違いに留意)
- 海外では米国(1998年〜)、欧州(英国・ドイツ・フランス)で既に経口液剤が承認済み
- 注射剤の院内調製による経口投与からの切替えが今後進むことが想定される。用量換算や院内の運用変更について、薬剤部門での対応準備が求められる
ライアットMIBG-I131静注(3-ヨードベンジルグアニジン131I)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 承認区分 | 承認事項一部変更(新効能・新用量) |
| 申請者 | PDRファーマ株式会社 |
| 効能・効果 | MIBG集積陽性の神経芽腫(追加) |
| 用法・用量 | 通常、1回296〜666 MBq/kgを1〜4時間かけて点滴静注(追加) |
| 特記事項 | 公知申請、迅速審査 |
今回の承認で何が変わるか
ライアットMIBG-I131静注は、2021年9月に「MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマ」の効能で承認されていましたが、今回の一部変更承認により、新たにMIBG集積陽性の神経芽腫が適応に追加されました。
神経芽腫は小児に好発する悪性腫瘍であり、特に再発・難治性の高リスク神経芽腫に対する治療選択肢は限られていました。海外では131I-MIBG療法が治療選択肢として確立されており、英国・ドイツ・フランスでは既に承認されていましたが、本邦ではこれまで適応外での使用にとどまっていました。
今回、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での評価を経て、追加の国内臨床試験を実施することなく公知申請で承認に至っています。これにより、本邦においても正式な承認のもとで131I-MIBG療法を神経芽腫に使用できるようになりました。
臨床的ポイント
- 用量設定:神経芽腫では体重あたりの用量(296〜666 MBq/kg)で設定されており、既承認の褐色細胞腫(1回5.55〜7.4 GBq固定用量)とは用法が異なる点に注意
- 444 MBq/kgを超える投与は造血幹細胞移植が可能な患者に限定:高用量投与では重篤な骨髄抑制が生じるため、造血幹細胞移植の併用が前提となる
- 主な有害事象:骨髄抑制、二次性悪性腫瘍、甲状腺機能低下症に特に注意が必要
- 甲状腺保護:投与前からヨード剤の投与が必要(遊離131Iの甲状腺摂取防止)
- 適応患者の選択:関連学会の最新ガイドラインを参考に選択すること
- 使用施設の要件:がん化学療法、放射線治療及び造血幹細胞移植に精通した医師のもとで使用すること
- 具体的な投与方法(投与量・回数等)に関する資材が製造販売業者から提供される予定であり、使用開始前に確認が必要