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承認情報PMDA承認事項一部変更承認

【PMDA承認情報】2025/11/04 医薬品承認一覧

製品名 承認区分 効能効果 PMDA
リブタヨ点滴静注350mg 承認事項一部変更 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌 詳細
デノスマブBS皮下注120mgRM「F」 承認 多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変 詳細
1.トシリズマブBS点滴静注80mg「CT」 承認 2. 同 点滴静注200mg「CT」【承認】3. 同 点滴静注400mg「CT」【承認】4. 同 皮下注162mgシリンジ「CT」【承認】5. 同 皮下注162mgオートインジェクター「CT」【承認】(2025年9月承認分)1.2.3〇既存治療で効果不十分な下記疾患関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る。、悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群 詳細
ジャイパーカ錠50mg/錠100mg 承認事項一部変更 他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む) 詳細
ボラニゴ錠10mg/錠40mg 承認 IDH1又はIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫 詳細
1.コセルゴ顆粒5mg 承認 2.同 顆粒7.5mg【承認】3.同 カプセル10mg【承認事項一部変更】4.同 カプセル25mg【承認事項一部変更】(2025年9月承認分)神経線維腫症1型における叢状神経線維腫 詳細
アイマービー点滴静注300mg/点滴静注1200mg 承認 全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る) 詳細

2025年9月のPMDA新規承認では、注目すべき変化がいくつかある。まず、抗PD-1抗体セミプリマブ(リブタヨ)が非小細胞肺癌への適応拡大を取得し、免疫チェックポイント阻害薬の選択肢がさらに広がった。非共有結合型BTK阻害剤ピルトブルチニブ(ジャイパーカ)はCLL/SLLへの適応追加により、共有結合型BTK阻害剤に耐性を示す患者への新たな治療選択肢となった。新有効成分としては、IDH1/2変異陽性神経膠腫に対する初の標的治療薬ボラシデニブ(ボラニゴ)と、全身型重症筋無力症に対する抗FcRn抗体ニポカリマブ(アイマービー)が承認された。バイオ後続品では、デノスマブBS(ランマークの後続品)とトシリズマブBS(アクテムラの後続品)が登場し、高額な生物学的製剤の経済的アクセス向上が期待される。また、コセルゴは顆粒剤の追加と食事制限の撤廃により、小児患者の服薬利便性が大きく改善される。


リブタヨ点滴静注350mg(セミプリマブ)|非小細胞肺癌への適応拡大

項目内容
一般名セミプリマブ(遺伝子組換え)
承認区分承認事項一部変更(新効能医薬品)
申請者リジェネロン・ジャパン株式会社
効能・効果切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

今回の承認で何が変わったか

リブタヨはこれまで本邦では「がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌」のみの適応であったが、今回の承認により「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」が追加された。これにより、NSCLC領域において既存のペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ等に加え、新たな抗PD-1抗体の選択肢が加わったことになる。

用法・用量は1回350mgを3週間間隔で30分間点滴静注であり、子宮頸癌と共通の用量・スケジュールで変更はない。

臨床的ポイント

  • 薬理学的特徴: セミプリマブはヒトPD-1に対するIgG4サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であり、PD-L1およびPD-L2の両方とPD-1の結合を阻害する。
  • エビデンス: 海外第III相試験として、PD-L1陽性NSCLCに対する単独投与の1624試験と、PD-L1発現状況にかかわらない化学療法併用の16113試験が実施され、いずれも有効性が示された。国内では第I相試験(1622試験)で日本人患者における薬物動態・安全性が検討されている。
  • 海外承認状況: 米国・EUでは2021〜2023年にすでにNSCLCの適応を取得済みであり、本邦での承認はこれに続くものとなる。単独投与は11の国・地域、化学療法併用は9の国・地域で承認されている。
  • 臨床的意義: NSCLC領域のICIは既に複数の選択肢があるが、セミプリマブの追加により治療選択の幅が広がる。特に薬価や供給面での競争が期待される。

デノスマブBS皮下注120mg RM「F」(デノスマブ後続1)|ランマークのバイオ後続品

項目内容
一般名デノスマブ(遺伝子組換え)[デノスマブ後続1]
承認区分バイオ後続品(新規承認)
申請者富士製薬工業株式会社
効能・効果多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変

今回の承認で何が変わったか

本剤は、第一三共のランマーク皮下注120mgを先行バイオ医薬品とする初のバイオ後続品である。ランマークは2012年1月の承認以来、多発性骨髄腫および固形癌骨転移による骨病変の治療において広く使用されてきたが、これまでバイオ後続品は存在しなかった。今回の承認により、デノスマブ120mg製剤にバイオ後続品という選択肢が加わり、長期投与が必要な骨関連イベント予防において医療経済的な恩恵が期待される。

なお、先行品が有する「骨巨細胞腫」の効能は、再審査期間および特許の関係で今回のBSには含まれていない。

臨床的ポイント

  • 開発元: アイスランドのAlvotech社が創製し、富士製薬工業が共同開発。
  • 同等性/同質性: PMDAの審査により、先行品ランマークと品質・非臨床・臨床において同等/同質であることが確認された。
  • 用法・用量: 先行品と同一で、120mgを4週間に1回皮下投与。
  • 実務上の注意: デノスマブ投与時に共通する顎骨壊死や低カルシウム血症のリスク管理は先行品と同様に必要。バイオ後続品への切替え時には患者への説明と同意が重要となる。

トシリズマブBS点滴静注80mg他「CT」(トシリズマブ後続1)|アクテムラのバイオ後続品

項目内容
一般名トシリズマブ(遺伝子組換え)[トシリズマブ後続1]
承認区分バイオ後続品(新規承認)
申請者セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン株式会社
剤形点滴静注80mg・200mg・400mg、皮下注162mgシリンジ・オートインジェクター

今回の承認で何が変わったか

本剤は、中外製薬のアクテムラを先行品とするバイオ後続品であり、点滴静注用3規格と皮下注2剤形の計5製剤が一括承認された点が特徴的である。これにより、関節リウマチ(RA)、若年性特発性関節炎(JIA)、キャッスルマン病、悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群(CRS)と幅広い適応をカバーするバイオ後続品が利用可能になった。

特にRAにおいては、皮下注製剤(シリンジ・オートインジェクター)が承認されたことで、自己注射を行っている患者にとっても先行品からの切替え選択肢が生まれた。

臨床的ポイント

  • 効能・効果(点滴静注): RA、多関節に活動性を有するJIA、全身型JIA、キャッスルマン病、悪性腫瘍治療に伴うCRS
  • 効能・効果(皮下注): RA(関節の構造的損傷の防止を含む)
  • 用法・用量: 先行品アクテムラと同一。RA:8mg/kg 4週間隔点滴静注、または162mg 2週間隔皮下注。CRS:体重に応じ8〜12mg/kg点滴静注。
  • 臨床的意義: トシリズマブは日本発のIL-6受容体抗体であり、国内での使用量も多い。バイオ後続品の登場により、特に長期投与が必要なRA領域での医療費軽減効果が大きいと見込まれる。

ジャイパーカ錠50mg/錠100mg(ピルトブルチニブ)|CLL/SLLへの適応拡大

項目内容
一般名ピルトブルチニブ
承認区分承認事項一部変更(新効能医薬品)
申請者日本イーライリリー株式会社
効能・効果他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)

今回の承認で何が変わったか

ジャイパーカは2024年6月に「他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)」の効能で承認されていたが、今回「慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)」が追加された。

CLL/SLLでは共有結合型BTK阻害剤(イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ)が広く使用されているが、BTK C481S変異等による耐性獲得や不耐容による中止が臨床課題であった。ピルトブルチニブは非共有結合型BTK阻害剤であり、C481S変異を含む耐性変異を有する腫瘍に対してもBTK活性を阻害できる。従来、共有結合型BTK阻害剤に不応となったCLL/SLL患者の治療選択肢は限られていたが、今回の承認によりこのアンメットニーズが直接的に満たされることになる。

臨床的ポイント

  • 作用機序: 非共有結合型にBTKの活性部位に結合し、共有結合型BTK阻害剤の耐性変異(C481S等)にも有効。
  • エビデンス: 海外第III相試験(20020試験)を主要な試験成績として承認。日本人集団の薬物動態は全体集団と同等。
  • 用法・用量: MCLと同一で、200mgを1日1回経口投与(変更なし)。
  • 安全性上の注意: 不整脈および二次性悪性腫瘍について、製造販売後調査でさらに検討が必要とされている。
  • 海外状況: 米国では2023年12月にCLL/SLLの迅速承認を取得(その後の状況に注意が必要)、EUでは2025年3月に承認。

ボラニゴ錠10mg/錠40mg(ボラシデニブ)|IDH変異陽性神経膠腫への初の標的治療薬

項目内容
一般名ボラシデニブ クエン酸水和物
承認区分新有効成分含有医薬品(新規承認)
申請者日本セルヴィエ株式会社
効能・効果IDH1又はIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫
指定希少疾病用医薬品

今回の承認で何が変わったか

ボラニゴは、IDH1/IDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫に対する本邦初の経口標的治療薬であり、新有効成分として承認された。

IDH変異陽性神経膠腫(グレード2の星細胞腫・乏突起膠腫等)は比較的若年で発症し、手術後に経過観察またはテモゾロミド/放射線療法が行われてきたが、これまで変異IDHを直接標的とする薬剤は存在しなかった。本薬の承認により、手術(生検・亜全摘・全摘を含む)後のIDH変異陽性神経膠腫患者に対して、変異酵素を直接阻害する新たな治療選択肢が加わった

臨床的ポイント

  • 作用機序: 変異型IDH1/IDH2の酵素活性を阻害し、がん代謝産物である2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)の産生を抑制。DNA/ヒストンのメチル化異常を是正し、腫瘍細胞の分化を誘導する。
  • エビデンス: 国際共同第III相試験(INDIGO試験)で有効性が示された。無増悪生存期間の有意な延長が確認されている。
  • 用法・用量: 成人は40mgを1日1回空腹時経口投与。12歳以上の小児は体重に応じて20mgまたは40mg。
  • 小児への対応: 小児患者における使用については、製造販売後の臨床試験でさらに検討予定。
  • 海外状況: 米国では2024年8月に承認済み。EUでは審査中。8の国・地域で承認。
  • 実務上の注意: IDH1/IDH2遺伝子変異のコンパニオン診断が前提となる。空腹時投与の規定があるため服薬指導時に注意。

コセルゴ顆粒5mg・7.5mg/カプセル10mg・25mg(セルメチニブ)|顆粒剤の追加と食事制限の撤廃

項目内容
一般名セルメチニブ硫酸塩
承認区分顆粒剤:新用量・剤形追加/カプセル剤:新用量(承認事項一部変更)
申請者アレクシオンファーマ合同会社
効能・効果神経線維腫症1型における叢状神経線維腫
指定希少疾病用医薬品

今回の承認で何が変わったか

コセルゴは2022年9月に小児に対するカプセル剤として承認済みであったが、今回2つの重要な変更が加わった。

  1. 顆粒剤(5mg・7.5mg)の追加: 従来のカプセル剤を嚥下できない低年齢の小児に対して、顆粒剤という新たな剤形が使用可能になった。カプセル型容器に封入された顆粒を食品等に混ぜて投与できるため、NF1患者の多くが小児であるこの疾患において、これまで治療薬がなかった低年齢層のアンメットニーズが直接解消される。

  2. カプセル剤の空腹時投与規定の削除: 従来はカプセル剤の用法に「空腹時」の規定があったが、今回これが削除された。1日2回の空腹時投与の遵守は患者本人および家族にとって大きな負担であったため、食事のタイミングを問わず投与できるようになったことで、服薬アドヒアランスの向上が期待される。

臨床的ポイント

  • 作用機序: MEK1/2阻害剤。NF1遺伝子変異によるRAS/MAPK経路の異常活性化を下流で遮断し、叢状神経線維腫の縮小を促す。
  • 用法・用量: 顆粒剤・カプセル剤ともに、セルメチニブとして1回25mg/m²(体表面積)を1日2回経口投与。1回量の上限は50mg。
  • 食事の影響: 海外では欧州2023年10月、米国2024年1月にそれぞれ食事規定が削除済み。本邦でもこれに追従した形。
  • 顆粒剤の特徴: 新添加剤としてステアロイルポリオキシル-32グリセリド等を含有。カプセル型容器に封入された顆粒であり、投与時の取り扱いについて適切な患者指導が必要。
  • 成人への展開: 別途、成人用法・用量の追加申請も令和6年12月に提出済みで審査中。

アイマービー点滴静注300mg/点滴静注1200mg(ニポカリマブ)|全身型重症筋無力症への新規抗FcRn抗体

項目内容
一般名ニポカリマブ(遺伝子組換え)
承認区分新有効成分含有医薬品(新規承認)
申請者ヤンセンファーマ株式会社
効能・効果全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
指定希少疾病用医薬品

今回の承認で何が変わったか

アイマービーは、抗FcRn(胎児性Fc受容体)モノクローナル抗体として本邦で新たに承認された新有効成分である。FcRnを標的とする薬剤としては、既にエフガルチギモド(ウィフガート)やロザノリキシズマブ(リスティーゴ)が全身型重症筋無力症(gMG)で承認されているが、ニポカリマブはIgG1由来の抗FcRn抗体であり、Fc領域のN296Aアミノ酸置換によりエフェクター機能を持たない設計が特徴である。

gMGでは既にステロイド、免疫抑制剤、補体阻害薬、FcRn阻害薬と複数の治療選択肢が存在するが、ステロイドや免疫抑制剤が十分に奏効しない患者は依然として存在する。本薬の承認により、抗FcRn抗体のクラス内での選択肢がさらに広がった。

臨床的ポイント

  • 作用機序: FcRnに結合し、IgGのリサイクリング(FcRnによるIgG再循環)を阻害することで、病原性自己抗体を含む循環血中IgG濃度を低下させる。
  • 用法・用量: 初回は30mg/kgを点滴静注、以降は15mg/kgを2週間隔で点滴静注。これはエフガルチギモド(週1回4回投与を反復)やロザノリキシズマブ(週1回6回皮下注を反復)とは異なる投与スケジュールであり、継続的な2週間隔投与という点が特徴的。
  • 対象患者: 12歳以上の成人および小児。
  • 海外状況: 米国では2025年4月に承認。EUでは2024年9月に申請、審査中。
  • 実務上の注意: IgG低下に伴う感染症リスクの管理が重要。血清中総IgG濃度のモニタリングが必要となる。