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承認情報PMDA承認

【PMDA承認情報】2025/12/15 医薬品承認一覧

製品名 承認区分 効能効果 PMDA
ビルベイ顆粒200?g/顆粒600?g 承認 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症に伴うそう痒 詳細

2025年8月、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)に伴うそう痒に対する初の治療薬として、IBAT阻害薬「ビルベイ顆粒」が新有効成分含有医薬品として承認された。PFICは胆汁酸代謝に関わる遺伝子変異による希少疾患であり、乳幼児期から重度のそう痒に苦しむ患者が多い。これまで国内にはPFICのそう痒を適応とした承認薬がなく、ウルソデオキシコール酸やコレスチラミンの適応外使用、あるいは外科的胆汁ドレナージに頼らざるを得なかった。今回の承認により、胆汁酸の腸管再吸収を選択的に阻害するという病態に即した薬物治療が初めて可能となった。

ビルベイ顆粒200μg/顆粒600μg(オデビキシバット水和物)

基本情報

項目内容
販売名ビルベイ顆粒200μg、ビルベイ顆粒600μg
一般名オデビキシバット水和物
申請者IPSEN株式会社
申請区分新有効成分含有医薬品
希少疾病用医薬品指定あり(指定番号:(R5薬)第567号)
再審査期間10年
劇薬指定該当(原体・製剤とも)

効能又は効果

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症に伴うそう痒

用法及び用量

通常、オデビキシバットとして 40 μg/kg を1日1回朝食時に経口投与する。効果不十分な場合には 120 μg/kg を1日1回に増量することができるが、1日最高用量として 7,200 μg を超えないこと。

今回の承認で何が変わるのか

これまでの課題

PFICは、胆汁酸の排泄に関わるトランスポーターの遺伝子変異により、胆汁酸が肝細胞内に蓄積して進行性の肝障害を引き起こす希少疾患である。患者は乳幼児期から激しいそう痒に苦しみ、QOLが著しく低下する。従来、国内ではPFICのそう痒に対する承認薬は存在せず、以下のような対応が行われてきた:

  • ウルソデオキシコール酸やコレスチラミンの適応外使用
  • 部分的外科的胆汁ドレナージ(partial external biliary diversion)
  • 最終的には肝移植

いずれも限界があり、特に薬物療法についてはエビデンスに基づく標準治療が確立されていなかった。

今回の承認による変化

今回、オデビキシバットが承認されたことで、PFICに伴うそう痒に対する国内初の承認薬が誕生した。 これにより、以下の変化が臨床現場にもたらされる:

  1. 病態に即したターゲット治療の実現 — オデビキシバットは回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)を選択的に阻害し、胆汁酸の腸管再吸収を抑制する。PFICの病態である胆汁酸蓄積に直接アプローチする初めての薬物治療となる
  2. 外科的介入前の薬物治療選択肢 — これまで薬物療法で十分な効果が得られず早期に外科的介入を検討せざるを得なかったケースにおいて、まず薬物治療を試みるという治療戦略が可能になる
  3. 小児に使いやすい製剤設計 — カプセル型容器に充填された顆粒剤であり、体重あたりの用量調節が可能。PFIC患者の多くが小児であることを踏まえた剤形である

臨床的ポイント

作用機序

オデビキシバットは、回腸末端に発現するIBATを強力かつ選択的に阻害する。ヒトIBATに対するIC₅₀値は 0.13 nmol/L と極めて低く、関連するナトリウム依存性胆汁酸トランスポーターに対する親和性と比較して60倍以上の選択性を示す。IBATを阻害することで胆汁酸の腸肝循環を遮断し、胆汁酸の糞便中排泄を促進する。その結果、血清胆汁酸濃度が低下し、そう痒の改善が期待される。

用量設定のポイント

  • 開始用量 40 μg/kg/日 から始め、効果不十分な場合に 120 μg/kg/日 へ増量する2段階の設定
  • 1日最高用量は 7,200 μg(体重60 kgの場合、120 μg/kgに相当)
  • 朝食時投与が指定されている点に注意(食事とともに服用)

安全性に関する留意事項

  • 原体・製剤ともに 劇薬 に該当する
  • 再審査期間は 10年 と設定されており、市販後の長期安全性データの蓄積が求められる
  • 承認条件として 医薬品リスク管理計画(RMP) の策定・実施が付されている
  • 胆汁酸の腸管再吸収を阻害する作用機序から、下痢や脂溶性ビタミンの吸収低下などに留意が必要と考えられる

海外での使用状況

オデビキシバットは海外ではすでにPFICに伴うそう痒を適応として承認されており、今回の国内承認により、日本の患者もグローバルスタンダードの治療にアクセスできるようになった。

まとめ

ビルベイ顆粒の承認は、PFICという希少疾患の治療において画期的な一歩である。これまで承認薬のなかったPFICのそう痒治療に、病態に即した薬理作用を持つ初の選択肢が加わった。小児患者が大半を占める疾患であり、今後の市販後における有効性・安全性の長期フォローアップが重要となる。