【PMDA承認情報】2026/01/13 医薬品承認一覧
| 製品名 | 承認区分 | 効能効果 | PMDA |
|---|---|---|---|
| ラヴィクティ内用液1.1g/mL | 承認 | 尿素サイクル異常症 | 詳細 |
| 1.セピエンス顆粒分包250mg | 承認 | 2. 同 顆粒分包1000mg 【承認】(2025年12月承認分)フェニルケトン尿症 | 詳細 |
| ミンジュビ点滴静注用200mg | 承認 | 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫 | 詳細 |
2025年12月 新規承認医薬品の解説
2025年12月の医薬品第一部会・第二部会で、注目すべき3品目が新規承認された。いずれも希少疾病用医薬品であり、従来の治療における課題を解決する新たな選択肢となる。
- 尿素サイクル異常症:フェニル酪酸ナトリウム製剤の服薬アドヒアランス課題を解決するプロドラッグ製剤(ラヴィクティ)が登場
- フェニルケトン尿症:サプロプテリン非応答例にも効果が期待できるBH4前駆体(セピエンス)が承認。新生児から使用可能
- 再発・難治性濾胞性リンパ腫:抗CD19抗体タファシタマブ(ミンジュビ)がリツキシマブ+レナリドミドとの3剤併用療法として新規承認
ラヴィクティ内用液1.1g/mL(フェニル酪酸グリセロール)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | フェニル酪酸グリセロール |
| 申請者 | 株式会社オーファンパシフィック |
| 承認区分 | 新有効成分含有医薬品 |
| 効能・効果 | 尿素サイクル異常症 |
| 再審査期間 | 10年 |
今回の承認で何が変わるか
従来、尿素サイクル異常症(UCD)の窒素スカベンジャー療法にはフェニル酪酸ナトリウム(NaPBA)製剤が用いられてきたが、服用量が多いこと、独特の味や臭いがあることが服薬アドヒアランスの大きな課題であった。
今回承認されたラヴィクティは、NaPBAと活性本体(フェニル酢酸:PAA)が同一のプロドラッグだが、グリセロール骨格に3分子のフェニル酪酸(PBA)が結合した構造を持つことで、NaPBAより少ない服用量で同等のアンモニア低減効果が得られる。さらに、臭いや味がほとんどないため、服薬アドヒアランスの大幅な向上が期待される。
これにより、特に小児患者や長期治療を要する患者において、治療の継続性が改善される可能性がある。
臨床的ポイント
- 作用機序:経口投与後、消化管リパーゼによりPBAとグリセリンに分解 → PBAは肝臓でβ酸化によりPAAに変換 → PAAがグルタミンと結合しPAGNとして腎排泄。グルタミン合成時に2分子のアンモニアが消費されるため、余剰アンモニアの排泄を促進する
- 用法・用量:1日4.5 mL/m²を開始用量とし、3〜6回に分割、食事とともに投与。上限は1日11.2 mL/m²
- ポジショニング:NaPBA製剤からの切り替えが想定される。カルグルミン酸やアルギニン製剤が一部の病型に限定されるのに対し、本剤はUCD全般に使用可能
- 海外では2013年に米国で承認済みで、12の国・地域での使用実績がある
セピエンス顆粒分包250mg / 同顆粒分包1000mg(セピアプテリン)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | セピアプテリン |
| 申請者 | PTCセラピューティクス株式会社 |
| 承認区分 | 新有効成分含有医薬品 |
| 効能・効果 | フェニルケトン尿症 |
| 再審査期間 | 10年 |
今回の承認で何が変わるか
フェニルケトン尿症(PKU)の薬物治療には、これまでサプロプテリン塩酸塩(BH4製剤)とペグバリアーゼ(遺伝子組換え)が承認されていたが、それぞれ重大な課題を抱えていた。
- サプロプテリン塩酸塩:BH4のバイオアベイラビリティや細胞内移行性が低く、反応するPKU患者が限定的
- ペグバリアーゼ(遺伝子組換え):アナフィラキシーを含む重篤な過敏症反応のリスクがあり、小児に対する適切な用法・用量が未設定
セピアプテリンは、BH4の内因性前駆体そのものと同一の化合物であり、BH4と比較して細胞膜を介した輸送能が高い。これにより、細胞内でのBH4濃度をより高めることが可能となり、一部のサプロプテリン非応答患者にも有効性が期待できる。
さらに、本剤は新生児(0カ月)から使用可能な年齢別用量が設定されており、早期からの薬物治療介入が可能になった点も大きな変化である。
臨床的ポイント
- 作用機序:セピアプテリンは細胞内に移行後、PAHの補酵素であるBH4に変換される。BH4は薬理学的シャペロンとしてPAHを安定化させ、低下したPAH機能を是正する。本薬自体もシャペロン機能を有する可能性がある
- 用法・用量(1日1回、食後):
| 年齢 | 1日量 |
|---|---|
| 0カ月以上6カ月未満 | 7.5 mg/kg |
| 6カ月以上1歳未満 | 15 mg/kg |
| 1歳以上2歳未満 | 30 mg/kg |
| 2歳以上 | 60 mg/kg |
- 剤形の利点:顆粒分包(250mg、1000mg)であり、小児への投与にも適する
- 忍容性に応じた減量:6カ月以上2歳未満では1日7.5 mg/kgまで、2歳以上では1日20 mg/kgまで減量可能
- 海外では2025年6月にEU、7月に米国で承認済み
ミンジュビ点滴静注用200mg(タファシタマブ〔遺伝子組換え〕)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般名 | タファシタマブ(遺伝子組換え) |
| 申請者 | インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社 |
| 承認区分 | 新有効成分含有医薬品 |
| 効能・効果 | 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫 |
| 再審査期間 | 10年 |
| 分類 | 生物由来製品・劇薬 |
今回の承認で何が変わるか
再発・難治性の濾胞性リンパ腫(FL)に対する治療選択肢に、抗CD19抗体を含む新たな3剤併用レジメンが加わった。
タファシタマブは、B細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)細胞上に発現するCD19を標的とするヒト化IgGモノクローナル抗体である。Fc領域にアミノ酸置換(S243D、G331A、I336E)を導入することで、ADCC(抗体依存性細胞傷害)活性とADCP(抗体依存性細胞貪食)活性が増強されている点が特徴である。
本邦では従来、再発・難治性FLに対してリツキシマブ(抗CD20抗体)を軸とした治療が行われてきたが、今回の承認により、リツキシマブ+レナリドミド+タファシタマブの3剤併用療法(R²+tafa)が新たな治療選択肢となった。抗CD20(リツキシマブ)と抗CD19(タファシタマブ)の異なるB細胞表面抗原を同時に標的とすることで、より強力な抗腫瘍効果が期待される。
臨床的ポイント
- 作用機序:CD19に結合し、ADCC・ADCP活性およびアポトーシス誘導により腫瘍増殖を抑制
- 併用レジメン:リツキシマブ(遺伝子組換え)+レナリドミドとの3剤併用が必須
- 投与スケジュール(28日サイクル、最大12サイクル):
- 1〜3サイクル目:1、8、15、22日目に投与(週1回)
- 4サイクル目以降:1、15日目に投与(2週間間隔)
- 用量:12 mg/kg(体重)、1日1回点滴静注
- 承認根拠:再発・難治性FL/MZL患者を対象とした国際共同第III相試験(301試験)が主要な根拠。なおMZL患者集団では明確なベネフィットが認められなかったため、FLのみでの承認となった
- 米国では2025年6月に同効能で承認済み
まとめ
今回承認された3品目はいずれも希少疾病用医薬品であり、従来の治療の限界を補完する位置づけとなる。
| 薬剤名 | 対象疾患 | 承認による最大の変化 |
|---|---|---|
| ラヴィクティ | 尿素サイクル異常症 | NaPBA製剤のアドヒアランス課題を解決 |
| セピエンス | フェニルケトン尿症 | サプロプテリン非応答例への新選択肢、新生児から使用可 |
| ミンジュビ | 再発・難治性FL | 抗CD19+抗CD20+レナリドミドの3剤併用が可能に |