【PMDA承認情報】2026/04/20 医薬品承認一覧
目次
| 製品名 | 承認区分 | 効能効果 | PMDA |
|---|---|---|---|
| アイリーア 8 mg硝子体内注射液114.3 mg/mL | 承認事項一部変更 | 同 8 mg硝子体内注射用キット114.3 mg/mL【承認事項一部変更】(2026年3月承認分)網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫 | 詳細 |
| オマリズマブBS皮下注75 mgシリンジ「CT」 | 承認 | 同 BS皮下注150 mgシリンジ「CT」【承認】 同 BS皮下注75 mgペン「CT」【承認】 同 BS皮下注150 mgペン「CT」 【承認】(2026年3月承認分)○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)○季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)○特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る) | 詳細 |
| トロデルビ点滴静注用200 mg | 承認事項一部変更 | 化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌 | 詳細 |
2026年3月承認分では、眼科・アレルギー・腫瘍の3領域にまたがる重要な変更が行われました。眼科領域ではアイリーア 8 mgに網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫が新たな適応として追加され、既存の加齢黄斑変性等に加えて使用範囲が拡大します。アレルギー領域ではオマリズマブ(ゾレア)のバイオシミラー「CT」が新規承認を取得し、シリンジ・ペン各2規格(75 mg・150 mg)の4製剤が一挙に登場します。腫瘍領域ではトロデルビ(サシツズマブ ゴビテカン)がホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌へと適応拡大され、化学療法歴のある難治例への新たな選択肢となります。バイオシミラーの供給体制と各薬剤の投与要件の変更点を中心に内容を確認してください。
アイリーア 8 mg硝子体内注射液114.3 mg/mL
(アフリベルセプト〔遺伝子組換え〕)
承認区分: 承認事項一部変更
新規追加効能・効果: 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
申請者: バイエル薬品株式会社
今回の変更点
アイリーア高濃度製剤(8 mg/0.07 mL)に、網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫の適応が新たに追加された。
低濃度製剤(アイリーア硝子体内注射液40 mg/mL)は2012年の発売以来、加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫・RVOに伴う黄斑浮腫など複数の適応を持つ。一方、高濃度製剤(114.3 mg/mL)は2024年1月に加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫で国内承認されていたが、RVOへの適応は本邦では本承認が初となる。
用法・用量
1回あたり8 mg(0.07 mL)を硝子体内投与する。投与間隔は4週以上あけること。
導入期はQ4Wで3回または5回投与した後、維持期にはQ8W(8週ごと)に投与し、症状に応じて投与間隔を調節する。
主な臨床試験の概要
承認の根拠となったのは、日本を含む27か国・地域で実施された国際共同第III相試験(22153試験、2023年5月〜2025年5月)である。未治療のRVOに伴う黄斑浮腫患者892例を対象に、以下の3群で比較した。
| 群 | 投与方法 |
|---|---|
| 8q8/3群 | 本薬8 mgをQ4Wで3回→Q8W |
| 8q8/5群 | 本薬8 mgをQ4Wで5回→Q8W |
| 2q4群(対照) | 低濃度製剤2 mgをQ4Wで9回→投与間隔調整 |
主要評価項目である36週時のETDRS BCVAのベースラインからの変化量は、8q8/3群 +17.4文字、8q8/5群 +18.3文字、2q4群 +17.5文字であり、いずれも2q4群に対する非劣性マージン(-4文字)を検証した。64週時の結果も3群間で差は認められなかった。
臨床的ポイント
投与回数の削減が最大の意義
2q4群(低濃度製剤)と比較して8q8/3群・8q8/5群の実薬投与回数は36週時点で平均6.1回・7.0回と有意に少なく(2q4群は8.8回)、同等の視力改善効果を維持しながら通院・注射回数の削減が期待できる。維持期にQ8Wへ移行できる点は、患者負担軽減につながる実臨床上のメリットとして重要である。
BRVO・CRVO・HRVOのいずれも対象
RVOの分類(BRVO/CRVO/HRVO)による有効性の差は認められておらず、すべての病型が本製剤の対象となる。
安全性プロファイル
安全性については概ね既承認効能と同様であるが、本試験において網膜血管炎が8q8/5群で1例治験薬との関連ありと判断されており、RVO患者への投与時には眼炎症所見(眼内炎症・眼圧上昇・網膜剥離)に加えて網膜血管炎にも留意する必要がある。また、動脈血栓塞栓事象はRMPにおける重要な潜在的リスクとして引き続き設定されている。
米国では2025年11月に承認取得済みであり、欧州でも審査中(2025年4月申請)の状況で、グローバルに標準治療の選択肢として位置付けられていく見通しである。
オマリズマブBS皮下注75 mgシリンジ「CT」他3製剤
承認区分: バイオ後続品(医療用医薬品 第7号) 申請者: セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン株式会社 承認: 2026年3月
効能・効果
- 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
- 季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)
- 特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)
今回の承認で何が変わるか
今回承認されたのは、抗IgEモノクローナル抗体オマリズマブ(先行バイオ医薬品:ゾレア®)のバイオシミラー4製剤である。韓国Celltrion社が製造し、EU・米国を含む15カ国・地域で既に承認を取得した実績を持つ。
最大のインパクトは医療アクセスの改善と薬剤費負担の軽減である。オマリズマブは難治性喘息・重症季節性アレルギー性鼻炎・難治性慢性蕁麻疹の三疾患で有用性が確立された生物学的製剤だが、高薬価がアクセスの障壁となっていた。バイオシミラーの参入により、特に長期投与を要する難治例での継続治療がより現実的な選択肢となる。
剤形は75 mg・150 mgのシリンジ製剤とペン製剤の計4種類が一括承認されており、先行品と同等の剤形ラインナップが確保されている。
臨床的ポイント
先行品との同等性: PMDAの審査において、ゾレア皮下注75 mgシリンジ他を先行バイオ医薬品として品質・非臨床・臨床データの比較検討が実施され、同等性・同質性が確認された。IgEとFcεRI・FcεRIIの結合阻害活性を含む生物学的特性、および薬物動態・安全性プロファイルについて、先行品との同等性が示されている。
用法・用量の考え方: 先行品と同様、投与量は初回投与前の血清中総IgE濃度と体重をもとに投与量換算表で設定する。気管支喘息・季節性アレルギー性鼻炎では1回75〜600 mgを2週または4週ごと、特発性慢性蕁麻疹では1回300 mgを4週ごとの固定用量で投与する。
切り替えの実務: 既存のゾレア投与患者からの切り替えについては、バイオシミラーへの変更は医師・薬剤師間の連携のもとで行い、患者への十分な説明と同意確認が重要となる。免疫原性リスクを踏まえ、切り替え後も有効性・副作用のモニタリングを継続することが望ましい。
トロデルビ点滴静注用200 mg
一般名: サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)
申請者: ギリアド・サイエンシズ株式会社
承認区分: 承認事項一部変更(適応追加)
今回の変更点
本剤はTROP-2を標的とするADC(抗体薬物複合体)であり、2024年9月に「化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」で国内承認されている。今回の適応追加により、「ホルモン受容体陽性(HR陽性)かつHER2陰性」の手術不能又は再発乳癌が新たに対象となった。
HR陽性HER2陰性乳癌は乳癌の中で最も患者数が多いサブタイプであり、CDK4/6阻害剤+内分泌療法後の化学療法ラインにおいて治療選択肢が限られていた。本剤の適応追加は、このアンメットニーズに応える意義がある。
主要な試験成績
主要評価資料は、2以上の化学療法歴を持つHR陽性HER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者543例を対象とした海外第III相試験(TROPiCS-02試験)である。
| エンドポイント | 本薬群 | TPC群 | ハザード比 | p値 |
|---|---|---|---|---|
| PFS中央値(BICR判定) | 5.5カ月 | 4.0カ月 | 0.661 [0.529, 0.826] | 0.0003 |
| OS中央値(第2回中間解析) | 14.4カ月 | 11.2カ月 | 0.789 [0.646, 0.964] | 0.0200 |
対照群(TPC)はエリブリン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビンのいずれか(無作為化前に担当医が選択)。PFS・OSともにTPC群に対する統計学的に有意な延長が示された。
国内試験(ASCENT-J02試験第II相パートのHR陽性/HER2陰性乳癌コホート、42例)における奏効率は16.7%(IRC判定)であり、事前設定閾値との有意差には達しなかったが、TROPiCS-02試験と同程度の有効性が示されたとして評価された。
安全性の注意点
主な有害事象はTROP-2 ADCに共通するプロファイルであり、好中球減少症(70.5%)、下痢(61.9%)、悪心(58.6%)、脱毛症(47.8%)が高頻度に認められる。Grade 3以上の好中球減少症は51.5%に達する。
臨床現場で特に注意が必要な点として、日本人患者では外国人と比較して骨髄抑制の発現割合が高いことが挙げられる。ASCENT-J02試験のHR陽性/HER2陰性コホートでは、Grade 3以上の好中球減少症が71.4%、白血球減少症が40.5%に達しており、いずれも外国人(51.5%、8.6%)を大きく上回る。G-CSF製剤の予防投与の有無別の骨髄抑制発現状況については、製造販売後調査での継続的な検討が求められている。
用法・用量
10 mg/kg(体重)を、21日間を1サイクルとして第1日および第8日に点滴静注する。初回投与時間は3時間とし、忍容性良好であれば2回目以降は1〜2時間に短縮可能。