承認情報PMDA承認事項一部変更

【PMDA承認情報】2026/06/01 医薬品承認一覧

製品名 承認区分 効能効果 PMDA
ファセンラ皮下注30 mgシリンジ 承認事項一部変更 同  皮下注30 mgペン  【承認事項一部変更】(2026年5月承認分)好酸球増多症候群 詳細
アレックスビー筋注用 承認事項一部変更 RSウイルスによる感染症の予防 詳細

2026年5月承認分では、既存薬2品目に適応追加・変更が認められた。ベンラリズマブ(ファセンラ)は、気管支喘息に続き好酸球増多症候群への適応が拡大され、IL-5受容体αを標的とした抗体薬の臨床活用範囲がさらに広がる。アレックスビー筋注用(ニルセビマブ)は、これまでのRSウイルス感染症予防における対象拡大が図られ、より幅広い患者層への予防介入が可能となる。いずれも既承認製剤への一部変更であるため、製剤自体は変わらないが、対象患者の選定基準と投与判断の更新が必要となる点に注意したい。


ファセンラ皮下注30 mgシリンジ・同30 mgペン(ベンラリズマブ)― 好酸球増多症候群への適応追加

承認区分: 承認事項一部変更(適応追加)

追加された効能・効果: 好酸球増多症候群(HES)

本剤は抗IL-5受容体αサブユニット(IL-5Rα)ヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、気管支喘息および好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に続き、今回新たに好酸球増多症候群(HES)への適応が追加された。希少疾病用医薬品(指定番号:R5薬第579号)として指定を受けている。

今回の承認で何が変わったか

HESはF/PDGFRA融合遺伝子陽性例(骨髄増殖性HES:MHES)に対してイマチニブが有効であるが、F/P陽性以外のHESに対して本邦で承認された分子標的薬はこれまで存在しなかった。F/P陰性例や原因不明の特発性HES(IHES)、リンパ増殖型(LHES)等では、経口ステロイド(OCS)、ヒドロキシカルバミド、インターフェロンα、メトトレキサートといった薬剤が使用されてきたが、効果不十分例や忍容性の問題が課題であった。

今回の承認により、F/P陽性以外のHESに対して初の生物学的製剤が臨床使用可能となり、長期OCS依存患者や既存治療抵抗例に対する新たな選択肢が生まれる。

承認の根拠となった主な臨床試験

NATRON試験(国際共同第III相二重盲検プラセボ対照試験)において、12歳以上のHES患者133例(本剤群67例、プラセボ群66例)を対象に、本剤30 mgを4週間隔で皮下投与し、24週間の二重盲検期における最初のHES悪化/再燃までの期間を主要評価項目として検討した。

  • HES悪化/再燃を経験した患者割合: 本剤群19.4% vs プラセボ群42.4%
  • ハザード比: 0.35(95%CI: 0.18〜0.69)、p=0.0024と統計的に有意差あり
  • 血中好酸球数: 投与開始後から本剤群では著明かつ持続的な低下が確認され、プラセボ群では増加傾向

日本人部分集団は例数が限られるものの(各群5例)、全体集団と概ね同様の傾向が示されている。

用法・用量

好酸球増多症候群(新規追加): 通常、成人及び12歳以上の小児にベンラリズマブとして1回30 mgを4週間隔で皮下注射する。

なお、気管支喘息では初回・4週後・8週後の3回に毎月投与し、その後8週間隔に切り替えるが、HESでは初回から一貫して4週間隔で投与する点が異なる。

臨床的ポイント

  • HESのサブタイプ(IHES、LHES、SO-HESなど)によらず、概ね一貫した有効性が示されている(表15参照)
  • F/P陽性例はNATRON試験の除外基準であり、適応対象外であることに留意が必要
  • 安全性プロファイルは既承認効能・効果(喘息、EGPA)での投与時と大きく異ならず、新たな安全上の懸念は認められていない。主な副作用はインフルエンザ様疾患、頭痛、発熱
  • 抗薬物抗体(ADA)が本剤群の10.6%に認められ、中和抗体陽性例では有効性への影響が示唆されることから、引き続きADAの影響を注視する必要がある
  • 長期投与(非盲検継続期の6カ月ごとデータ)においても有効性の減衰は認められていない
  • 再審査期間は10年

HES治療においてOCS長期投与のリスク(骨粗鬆症、感染症、耐糖能異常など)を抱える患者に対し、ステロイド節減効果も期待しながらベンラリズマブの導入を検討できる点は、臨床的に大きな意義を持つ。


アレックスビー筋注用

承認区分: 承認事項一部変更 一般名: 組換えRSウイルスワクチン 製造販売元: グラクソ・スミスクライン株式会社

何が変わったか

今回の一部変更承認の核心は、接種対象年齢の大幅な引き下げである。

従来の用法・用量では「60歳以上の者または50歳以上のRSV感染症が重症化するリスクが高いと考えられる者」が対象であったが、今回の変更により「60歳以上の者または18歳以上のRSV感染症が重症化するリスクが高いと考えられる者」へと拡大された(取消線部削除、下線部追加)。

これにより、本邦において18〜49歳の重症化リスクを有する成人に対して使用可能なRSVワクチンが初めて承認されたことになる。2026年1月時点で、この年齢層に対して適応を持つRSVワクチンは国内に存在しなかった。

承認の根拠となった試験

今回の変更は、国際共同第III相試験(RSV OA=ADJ-025試験、2024年4月〜2025年3月)の成績に基づく。

  • 対象: 基礎疾患を有する18〜49歳成人(AIR群:426例、日本人42例を含む)と60歳以上の成人(OA群:429例)
  • 主要評価項目: 接種1カ月後のRSV-AおよびRSV-Bに対する中和抗体価(GMT)と中和抗体応答率(SRR)の、AIR群のOA群に対する非劣性
  • 結果: RSV-A・RSV-Bともに非劣性基準を満たした(GMT比 0.72〜0.73、SRR差 −10%以下)。日本人集団でも同様の傾向が確認されている

接種6カ月後も両群ともに免疫応答の減弱は認められたが、接種前と比較して高値を維持した。

接種対象となるリスク状態

用法・用量に関連する注意として、18歳以上でリスクが高い状態とは以下を指す。

  • 慢性肺疾患、慢性心血管疾患、慢性腎臓病または慢性肝疾患
  • 糖尿病
  • 神経疾患または神経筋疾患
  • 肥満
  • 上記以外で医師が接種を必要と認めた者

安全性のポイント

AIR群(18〜49歳)はOA群(60歳以上)と比較して注射部位疼痛・筋肉痛・疲労・頭痛の発現割合が高い傾向があったが、Grade 3の重篤な事象は少なく、持続期間の中央値は2〜3日程度であった。死亡・中止に至った有害事象は認められていない。

注目すべき有害事象として、アジュバントAS01Eの免疫賦活作用に基づくpIMD(免疫の関与が疑われる疾患)および心房細動の引き続きの情報収集が計画されている。いずれも025試験では特段の注意喚起を要するシグナルは得られていないが、製造販売後データベース調査の対象を18歳以上に拡大して継続監視が行われる。

妊婦・妊娠している可能性のある女性への接種は望ましくないとされた(添付文書記載内容も変更予定)。18〜49歳では妊娠可能年齢の女性が含まれるため、実臨床での問診が従来以上に重要となる。

臨床現場へのインパクト

慢性心肺疾患や糖尿病を合併する若年・中年成人において、これまで選択肢のなかったRSVワクチン接種が可能となった。60歳未満でもICU入院や人工呼吸管理に至るRSV重症例は存在しており、ハイリスク患者へのワクチン相談の機会が広がる。一方、本邦での18〜49歳における疫学データは限られており、引き続き市販後情報の蓄積が求められる段階であることも念頭に置く必要がある。