承認情報PMDA承認承認事項一部変更

【PMDA承認情報】2026/07/13 医薬品承認一覧

製品名 承認区分 効能効果 PMDA
キネレット皮下注100 mgシリンジ 承認 全身型若年性特発性関節炎○成人発症スチル病 詳細
ミンジュビ点滴静注用200 mg 承認事項一部変更 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 詳細
ウェイリズ錠400 mg 承認 持続性及び慢性免疫性血小板減少症 詳細
ウゴービ皮下注0.25 mg SD/皮下注0.5 mg SD/皮下注1.0 mg SD/皮下注1.7 mg SD/皮下注2.4 mg SD/皮下注0.25 mgペン 1.0 MD/皮下注0.5 mgペン 2.0 MD/皮下注1.0 mgペン 4.0 MD/皮下注1.7 mgペン 6.8 MD/皮下注2.4 mgペン 9.6 MD 承認事項一部変更 同   皮下注0.5 mg SD【承認事項一部変更】  同  皮下注1.0 mg SD【承認事項一部変更】  同   皮下注1.7 mg SD【承認事項一部変更】  同   皮下注2.4 mg SD【承認事項一部変更】  同   皮下注0.25 mgペン 1.0 MD【承認事項一部変更】  同  皮下注0.5 mgペン 2.0 MD【承認事項一部変更】  同  皮下注1.0 mgペン 4.0 MD【承認事項一部変更】  同  皮下注1.7 mgペン 6.8 MD【承認事項一部変更】  同  皮下注2.4 mgペン 9.6 MD【承認事項一部変更】(2026年6月承認分)肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎ただし、中等度又は高度の線維化を有する場合に限る。 詳細

今回の承認では、新規承認と適応拡大が合わせて4件公表された。キネレット皮下注は全身型若年性特発性関節炎及び成人発症スチル病を適応として新規承認された。ミンジュビ点滴静注用には、再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する適応が追加された。ウェイリズ錠は持続性及び慢性免疫性血小板減少症を適応として新規承認された。ウゴービ皮下注は、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(中等度又は高度の線維化を有する場合に限る)への適応拡大が承認され、肥満症治療薬としての位置づけを超える展開となった。


キネレット皮下注100 mgシリンジ

製品名:キネレット皮下注100 mgシリンジ(一般名:アナキンラ〔遺伝子組換え〕) 効能・効果:全身型若年性特発性関節炎(sJIA)、成人発症スチル病(AOSD) 承認区分:新有効成分含有医薬品(希少疾病用医薬品指定・劇薬)

何が変わったのか

本剤は、sJIA・AOSDを対象とした国内初のIL-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)である。両疾患の第一選択薬はグルココルチコイドだが、標準治療で寛解しない難治例に対しては、これまで抗IL-6受容体抗体トシリズマブと抗IL-1β抗体カナキヌマブが用いられてきた。本剤の承認により、IL-1経路を標的とする生物学的製剤の選択肢が実質的に1剤増える。

作用機序上の違いが臨床的に重要である。カナキヌマブはIL-1βを選択的に中和するのに対し、アナキンラはIL-1受容体そのものに結合し、IL-1αとIL-1βの両方を競合的に阻害する。IL-1α優位の病態や、カナキヌマブに反応不良な症例における代替選択肢として位置づけられうる。海外ではすでに欧州を含む30以上の国・地域でスチル病治療薬として承認され、長年の使用実績を持つ薬剤が本邦に導入された形となる。

用法・用量と臨床的ポイント

  • 対象年齢は生後8カ月以上かつ体重10 kg以上と広く、成人から小児まで一貫して使用できる。
  • 体重50 kg以上:100 mgを1日1回皮下投与。体重50 kg未満:2 mg/kgを1日1回(16歳未満で効果不十分な場合は最大4 mg/kgまで増量可)。
  • 最大の特徴は連日皮下注射が必要な点で、月1回投与のカナキヌマブと比べ患者・介護者の負担は大きい。一方で本剤は半減期が短く、有害事象発現時やマクロファージ活性化症候群(MAS)合併時に迅速な休薬・中止判断がしやすいという利点があり、疾患活動性が急変しうるsJIA/AOSDの管理においては臨床的に意味を持つ。
  • 国内第III相試験(303試験)では、二重盲検投与期の本剤群8例中7例(87.5%)が投与2週時に改変ACR30を達成し、有効性が示された。抗薬物抗体(ADA)は本剤投与例のほぼ全例で検出されたが、有効性・安全性への明確な影響は認められていない。
  • 重度腎機能障害・末期腎不全患者ではクリアランス低下により曝露量が増加するため、100 mgの隔日投与が考慮される。
  • 製造販売後調査では、長期投与時の安全性についてさらなる検討が必要とされている。

ミンジュビ点滴静注用200mg

製品名:ミンジュビ点滴静注用200mg(一般名:タファシタマブ〔遺伝子組換え〕) 承認区分:承認事項一部変更(新効能・新用量) 効能・効果:再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を追加(既承認の「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」に、下線部として本適応が追加された)

タファシタマブはCD19を標的とするヒト化IgGモノクローナル抗体で、ADCC・ADCP活性およびアポトーシス誘導により抗腫瘍効果を示す薬剤である。国内では2025年12月に濾胞性リンパ腫の適応で先行承認されており、今回はレナリドミド(LEN)併用によるDLBCL適応の追加という「同一分子の適応拡大」にあたる。海外ではL-MIND試験(203試験)を根拠に米国で2020年に迅速承認、EUでも2021年に承認済みで、2026年1月時点で55の国・地域で承認されており、今回の一変承認は国際的にはやや周回遅れでのキャッチアップという位置づけになる。

何が変わったのか

ASCT(自家造血幹細胞移植)不適格または無効と判断された再発・難治性DLBCL患者に対し、CD20標的治療を含む1〜3レジメンの前治療歴がある患者を対象に、タファシタマブ+レナリドミド併用療法という新たな治療選択肢が加わった。これまでこの患者層には、ポラツズマブ ベドチン+BR療法やCAR-T細胞療法などの選択肢があったが、CAR-T療法は細胞培養・製造期間や実施可能施設の制約が大きい。本レジメンは抗体医薬とIMiDの併用で、外来管理が可能な点数で治療選択肢の幅を広げる意義がある。

用法・用量もDLBCL用に個別設計されている点が特徴的である。濾胞性リンパ腫では初回サイクルに負荷投与を設けていなかったのに対し、DLBCLでは1サイクル目のみ5回投与(1、4、8、15、22日目)とし、より急速に進行するアグレッシブリンパ腫であることを踏まえて早期に腫瘍細胞を減少させる設計とされた。2・3サイクル目は週1回、4サイクル目以降は隔週投与とレナリドミド最大12サイクルまでの併用である。

臨床的ポイント

  • 有効性:国内第Ib/II相試験(102試験、42例)ではLugano基準によるIRC判定奏効率71.4%(CR 45.2%、PR 26.2%)。海外第II相のL-MIND試験(203試験、80例)では最終解析で奏効率57.5%(CR 41.3%、PR 17.5%)と、いずれもASCT不適格の再発・難治性DLBCLという予後不良集団において高いCR率を示した。
  • 安全性:国内試験では治験薬投与期間中・追跡期間中の死亡は認められなかった。海外試験では5/81例(6.2%)に死亡が認められたが、いずれも治験薬との因果関係は否定されている(COVID-19、脳卒中、PML、呼吸不全、突然死)。RMPでは血球減少、感染症、B型肝炎ウイルス再活性化、PML、infusion reaction、TLSが重要な特定されたリスクとされており、レナリドミド併用による骨髄抑制モニタリングが臨床現場での実務上の要点となる。
  • infusion reaction対策:1サイクル目の投与(最初の3回)には抗ヒスタミン剤・解熱鎮痛剤・副腎皮質ホルモン剤の前投与が必須とされ、Grade 2以上が発現した患者ではその後も前投与を継続する運用が求められる。

機構は審査報告書で「再発又は難治性のDLBCL患者に対する治療選択肢の一つとして、臨床的意義がある」と評価しており、ASCT不適格患者やCAR-T療法へのアクセスが難しい患者にとって、外来ベースで実施可能な選択肢が増えたことが今回の一変承認の実質的なインパクトといえる。


ウェイリズ錠400 mg(リルザブルチニブ)

製品名:ウェイリズ錠400 mg(一般名:リルザブルチニブ) 承認区分:新有効成分含有医薬品(新有効成分含有医薬品としての承認、希少疾病用医薬品指定) 効能・効果:持続性及び慢性免疫性血小板減少症(ITP) 用法・用量:通常、成人にはリルザブルチニブとして1回400 mgを1日2回、経口投与する

何が変わったのか

ITPの治療は従来、副腎皮質ステロイド、IVIg(免疫グロブリン大量療法)、TPO 受容体作動薬(TPO-RA)、リツキシマブ、脾臓摘出術などで構成されており、これらに不耐・不応となった患者への選択肢は限られていた。ウェイリズは、経口投与可能なBTK*阻害剤として、この既存治療に不耐・不応の持続性・慢性ITP患者に対する新たな治療選択肢を提供する点が最大の変化である。

*BTK: Bruton型チロシンキナーゼ

本剤は、B細胞受容体及びFcγ受容体のシグナル伝達に関与するBTKを阻害することで、自己抗体の産生とマクロファージによる血小板の貪食(抗体依存性細胞貪食:ADCP)を抑制する機序を持つ。既承認のBTK阻害剤(イブルチニブ、アカラブルチニブ等)は主に血液腫瘍領域で用いられてきたが、本剤はITPという自己免疫性疾患に焦点を当てて開発された点が特徴的である。

臨床的ポイント

  • 有効性:国際共同第III相試験(PRN1008-018試験)において、18歳以上の持続性・慢性ITP患者を対象とした二重盲検期(12週)で、主要評価項目である「持続的な血小板反応」(救済療法を行わず血小板数50,000/µL以上を維持)の達成割合は、本薬群23.3%に対しプラセボ群0%であり、統計学的に有意な優越性が示された(群間差23.1%[95%CI:15.95, 30.31]、p<0.0001)。
  • 安全性プロファイル:本薬群で頻度の高い有害事象は下痢(32.3%)、悪心(20.3%)、頭痛(18.0%)であり、いずれも概して軽度〜中等度であった。重篤な有害事象は本薬群0.8%で血小板減少症が認められたが、プラセボ群(2.9%)より低い頻度であった。
  • 薬物相互作用に注意:本剤は主にCYP3Aで代謝されるため、強い/中等度のCYP3A阻害剤・誘導剤との併用は可能な限り避ける必要がある。特にCYP3A誘導剤(リファンピシン等)との併用では曝露量が約80%減少し、ITPという重篤な血液疾患において有効性低下が出血リスクに直結し得るため注意喚起されている。また、プロトンポンプ阻害剤との併用でも曝露量が約51%低下するため、胃酸分泌抑制薬併用時の管理も重要となる。
  • 妊婦・授乳婦への投与:動物実験で胚・胎児毒性(心血管系異常、腎・泌尿器系への影響等)が認められたため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌とされた。乳汁移行性は不明であり、授乳の継続・中止は治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して判断する必要がある。
  • 肝機能障害患者への投与:中等度以上の肝機能障害を有する患者では曝露量が正常肝機能患者の4〜5倍に増加するため、投与を可能な限り避けるよう注意喚起されている。

本剤の登場により、既存治療に反応しない持続性・慢性ITP患者に対して、注射剤(TPO-RA、リツキシマブ)や外科的介入(脾摘)とは異なる、経口BTK阻害剤という新たな治療モダリティが薬剤師・医療従事者の選択肢に加わることになる。


ウゴービ皮下注(一般名:セマグルチド〔遺伝子組換え〕)

製品名:ウゴービ皮下注0.25 mg SD/同0.5 mg SD/同1.0 mg SD/同1.7 mg SD/同2.4 mg SD/同0.25 mgペン 1.0 MD/同0.5 mgペン 2.0 MD/同1.0 mgペン 4.0 MD/同1.7 mgペン 6.8 MD/同2.4 mgペン 9.6 MD 承認区分:承認事項一部変更(新効能) 効能・効果(追加分):肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)ただし、中等度又は高度の線維化を有する場合に限る

今回の承認で何が変わったのか

ウゴービはGLP-1受容体作動薬セマグルチドを有効成分とし、2023年3月に「肥満症」の効能・効果で承認済みだが、今回の一部変更承認により「肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)」(中等度又は高度の線維化を有する場合に限る)が効能・効果に追加された。用法・用量は肥満症と同様、週1回2.4 mgまで漸増する皮下注射で変更はない。

最大の意義は、国内でNASH/MASHに対する薬物療法として承認された医薬品がこれまで存在しなかった点にある。従来、NASH(非アルコール性脂肪肝炎、2024年8月の学会合同声明によりMASHへ呼称変更)に対しては食事・運動療法などの生活習慣改善が標準治療とされ、線維化が進行し肝硬変・肝不全・肝細胞癌へ至るリスクを薬物治療で抑制する選択肢がなかった。ウゴービの適応追加により、中等度〜高度線維化を有するMASH患者に対して、GLP-1受容体作動薬による薬物治療という新たな選択肢が加わることになる。

臨床的ポイント

  • 国際共同第III相試験(4553試験)の結果:線維化ステージF2又はF3のNASH患者を対象に、本薬2.4mg群とプラセボ群を比較。72週時点の主要評価項目のうち、

    • 「肝線維化の悪化を伴わないNASHの消失割合」:本薬群62.9% vs プラセボ群34.3%(群間差28.6%、p<0.0001)
    • 「NASHの悪化を伴わない肝線維化の改善割合」:本薬群36.8% vs プラセボ群22.4%(群間差14.4%、p<0.0001) ともに統計学的に有意な差が認められ、組織学的な炎症・線維化双方への改善効果が示された。なお本試験は肝硬変を伴わない生存を主要評価項目とするパート2が進行中であり、長期の肝予後改善効果は今後さらに検証される。
  • 安全性プロファイル:有害事象は本薬群で86.3%、プラセボ群で78.7%と本薬群でやや高く、悪心・下痢・便秘・嘔吐といった消化器症状が中心で、肥満症適応での既知の副作用プロファイルと一致する。重篤な有害事象の発現割合はプラセボ群と本薬群でほぼ同等であり、死亡例も治験薬との関連は否定されている。

  • 投与対象の絞り込み:適応は「中等度又は高度の線維化を有する場合」に限定されており、線維化ステージF2・F3が主な対象となる。肝硬変(F4)に至った患者は今回の適応には含まれておらず、薬剤選択にあたっては肝生検等による線維化ステージの評価が前提となる点に留意が必要である。

  • 既存治療との位置づけ:肥満症治療薬として使用経験の蓄積があるセマグルチドが、代謝性因子の改善(体重減少、血糖・血圧改善等)を介して間接的に肝臓へ作用しMASHの炎症・線維化を抑制するという機序で承認された点は、肥満・2型糖尿病を併存することの多いMASH患者にとって、体重管理と肝疾患治療を同一薬剤で担える臨床的メリットにもつながる。