承認情報PMDA

【PMDA承認情報】2026/07/29 医薬品承認一覧

製品名 承認区分 効能効果 PMDA
カービクティ点滴静注 不明 詳細

今回、CAR-T細胞療法である「カービクティ点滴静注」の承認情報が公開されました。本剤はBCMA(B細胞成熟抗原)を標的とするキメラ抗原受容体T細胞療法で、再発・難治性の多発性骨髄腫患者を対象としています。患者自身のT細胞を採取し遺伝子改変して製造する個別化細胞医薬品であり、既存の標準治療で効果が得られなかった患者層への新たな選択肢となります。投与にあたっては専門施設での厳格な管理体制が前提となるため、サイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性などの副作用モニタリング体制についても薬剤師として把握しておく必要があります。


カービクティ点滴静注(シルタカブタゲン オートルユーセル)

BCMA(B cell maturation antigen)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞を用いる再生医療等製品「カービクティ点滴静注」(シルタカブタゲン オートルユーセル、ヤンセンファーマ)について、既承認の効能・効果に新たな適応を追加する一部変更承認申請が了承された。

効能・効果(追加後):再発又は難治性の多発性骨髄腫。ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。

  • BCMA抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない
  • 免疫調節薬及びプロテアソーム阻害剤を含む1つ以上の前治療歴を有し、レナリドミドに対して難治性

承認区分:新効能再生医療等製品(希少疾病用再生医療等製品指定:令和2年6月23日付)

今回の承認で何が変わったか

本品は2022年9月、免疫調節薬・プロテアソーム阻害剤・抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性多発性骨髄腫を対象に承認されていた。今回の適応追加により、対象患者は免疫調節薬及びプロテアソーム阻害剤を含む1つ以上の前治療歴があり、レナリドミド難治性であれば適応となる。抗CD38モノクローナル抗体製剤の前治療歴要件は撤廃された。

これは、CAR-T細胞療法としての本品の使用ラインを「後方治療」から「早期治療(1次治療不応後)」へと大きく前倒しする変更である。従来は複数レジメンに難治性となった患者の最終手段的な位置づけであったが、今後はレナリドミド不応が確認された時点で、比較的早期にCAR-T療法を選択肢として検討できるようになる。

臨床的ポイント

  • 根拠となったのは国際共同第Ⅲ相試験MMY3002(CARTITUDE-4試験)。1〜3レジメンの前治療歴を有し、レナリドミド難治性の再発又は難治性多発性骨髄腫患者419例を、本品群と標準治療群(PVd療法又はDPd療法)に1:1で無作為化し比較した。
  • 主要評価項目のPFS(中央判定・ITT集団、中間解析)は、標準治療群の中央値11.79カ月に対し本品群は未到達(NE)、ハザード比0.40[98.09%CI: 0.28, 0.58]、両側p値<0.0001と、標準治療に対する明確な優越性が示された。
  • 用法・用量に変更はなく、非動員末梢血単核球を用いたアフェレーシス〜リンパ球除去化学療法(シクロホスファミド+フルダラビン)〜単回静脈内投与という一連のプロセスは従来と同一である。
  • 承認条件として、①サイトカイン放出症候群(CRS)等への対応体制が整った医療施設・医師のもとでの使用、②国内治験症例が少数にとどまることから、製造販売後は全症例を対象とした使用成績調査の実施が課せられている。
  • 使用ラインの前倒しに伴い、CRSや免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)等のCAR-T特有の有害事象管理体制を、より早期の治療段階から整備しておく必要性が高まる点に留意したい。