承認情報PMDA承認

【PMDA承認情報】2026/08/17 医薬品承認一覧

製品名 承認区分 効能効果 PMDA
ロープレッサ点眼液0.02 % 承認 次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症 詳細

今回、緑内障領域に新たな点眼薬としてロープレッサ点眼液0.02%が承認された。適応は緑内障および高眼圧症であり、他の緑内障治療薬で効果不十分な症例、または副作用などにより既存薬を継続使用できない症例が対象となる。第一選択薬ではなく、既存治療で管理困難な患者に対する追加の選択肢として位置づけられる点が特徴である。緑内障治療薬のラインアップが拡充されたことで、治療抵抗性の症例に対する薬剤選択の幅が今後広がることが期待される。


ロープレッサ点眼液0.02%

製品名: ロープレッサ点眼液0.02%(一般名:ネタルスジルメシル酸塩) 承認区分: 新有効成分含有医薬品(1回1滴、1日1回点眼) 効能・効果: 次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症

米国Aerie Pharmaceuticals社(現Alcon社)が創製したRhoキナーゼ(ROCK)阻害薬であり、既承認のリパスジル(グラナテック点眼液)と同じROCK阻害作用に加えて、ノルアドレナリントランスポーター(NET)阻害作用を併せ持つデュアルメカニズムの点眼液である点が本剤の最大の特徴である。海外では2017年12月に米国で、2019年11月に欧州で承認済みで、2026年2月時点で42の国又は地域で承認されており、今回国内でも既存治療薬で効果不十分又は使用できない緑内障・高眼圧症患者向けの新たな選択肢として承認された。

何が変わったのか

これまで国内で使用可能なROCK阻害点眼薬はリパスジル(1日2回点眼)のみであったが、本剤はROCK阻害による房水流出促進作用に加え、NET阻害を介した房水産生抑制作用を併せ持ち、1日1回点眼で足りる点が大きく異なる。非臨床試験では、本剤点眼によりウサギの房水流出率が56%増加し、房水産生も約50%抑制されることが示されており、既存の房水流出促進系薬剤(プロスタグランジン関連薬、ROCK阻害薬)とは異なる二重の眼圧下降機序を持つ。

国内第III相実薬対照試験(CS305試験)では、未治療又は既治療の原発開放隅角緑内障・高眼圧症患者を対象に、本剤とリパスジルを直接比較した結果、投与4週後の平均日中眼圧値は本剤群で群間差-1.74mmHg(95%信頼区間[-2.17, -1.31]、p<0.0001)と、既存のROCK阻害薬リパスジルに対する優越性が示された。また、プロスタグランジン関連薬(LAT点眼液)で効果不十分な患者を対象とした併用試験でも、本剤上乗せによる有意な眼圧下降効果が確認されており、第一選択薬で効果不十分な症例に対する上乗せ選択肢としての位置づけも支持されている。

臨床的ポイント

  • 作用機序: ROCK阻害による主経路(線維柱帯経由)房水流出促進とNET阻害による房水産生抑制の二重作用。既存の緑内障治療薬(プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、α2作動薬、既存ROCK阻害薬)のいずれとも異なる新規機序であり、多剤併用における選択肢の幅が広がる。
  • 安全性プロファイル: 結膜充血がROCK阻害薬に共通する高頻度の有害事象であり、国内第III相試験では本剤群の59.8〜70.6%に有害事象が認められ、うち結膜充血が最多であった。多くは軽度から中等度で治験期間中に回復しており、忍容性は許容可能と判断されている。
  • 位置づけ: 効能・効果は「他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合」に限定されており、第一選択薬ではなく、既存治療で効果不十分な患者や副作用等で継続使用が困難な患者に対する代替・追加治療薬としての承認である。1日1回点眼という利便性は、多剤併用時のアドヒアランス向上にも寄与しうる。
  • 長期投与試験: 本剤単独及びLAT・チモロールとの併用で52週間の眼圧下降効果の持続が確認されており、長期管理における有用性も示唆されている。