承認情報PMDA承認事項一部変更承認

【PMDA承認情報】2026/08/31 医薬品承認一覧

製品名 承認区分 効能効果 PMDA
ベスレミ皮下注250 ?g シリンジ 承認事項一部変更 同 皮下注500 ?g シリンジ【承認事項一部変更】(2026年8月承認分)本態性血小板血症 詳細
アベロックス錠400 mg 承認事項一部変更 以下 詳細
ゲムシタビン点滴静注液200 mg/5 mL「NK」 承認事項一部変更 同  点滴静注液1 g/25 mL「NK」【承認事項一部変更】(2026年8月承認分)局所進行上咽頭癌における化学放射線療法の導入療法、再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌 詳細
ゲムシタビン点滴静注用200 mg「タカタ」 承認事項一部変更 同  点滴静注用1 g「タカタ」【承認事項一部変更】(2026年8月承認分)局所進行上咽頭癌における化学放射線療法の導入療法、再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌 詳細
オーゼイフル錠0.5 mg 承認 同   錠1 mg【承認】    同   錠2 mg【承認】(2026年8月承認分)ナルコレプシータイプ1 詳細
1.ボトックスビスタ注用100単位 承認 2.  同    注用50単位【承認事項一部変更】(2026年8月承認分)65歳未満の成人における咬筋膨隆 詳細
イミフィンジ点滴静注120 mg 承認事項一部変更 同   点滴静注500 mg【承認事項一部変更】(2026年8月承認分)高リスク筋層非浸潤性膀胱癌 詳細

今回の承認では、新規承認薬としてオーゼイフル錠(ナルコレプシータイプ1治療薬)とボトックスビスタ注用(65歳未満の成人における咬筋膨隆)が加わった。適応拡大では、ベスレミ皮下注が本態性血小板血症を対象に加え、ゲムシタビン点滴静注液(「NK」「タカタ」各製剤)は局所進行上咽頭癌への化学放射線療法における導入療法、および再発・遠隔転移を有する上咽頭癌へと適応が拡大された。イミフィンジ点滴静注は高リスク筋層非浸潤性膀胱癌が新たな適応に加わり、アベロックス錠400mgも承認事項の一部変更が行われている。全体として、新規薬剤の追加に加え、がん化学療法領域を中心に既存薬の適応拡大が目立つ月となった。


ベスレミ皮下注250μg/500μgシリンジ(ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え))

承認区分:承認事項一部変更(新効能医薬品・新用量医薬品) 効能・効果:本態性血小板血症(ET)を追加(下線部追加)。既存効能は「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」で変更なし。 用法・用量(ET):通常、成人にはロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)として1回250μgを開始用量とし、忍容性が良好であれば2週後に1回350μg、さらに2週後に1回500μg、以降は2週に1回500μgを皮下投与(B法)。患者の状態により適宜減量する。真性多血症のA法(100μg開始・緩徐漸増)は選択肢に含まれず、ETではPVの急速漸増法(B法)のみが適用される点に注意。

今回の承認で何が変わったのか

これまでベスレミはPV(既存治療抵抗性・不耐容例)に限定されたインターフェロン製剤であったが、今回の適応追加によりヒドロキシカルバミド(HU)に抵抗性又は不耐容の高リスクET患者に対する新たな治療選択肢として使用可能になった。国内外の診療ガイドラインでは、高リスクET患者に対する細胞減少療法薬としてHUおよびアナグレリド(ANA)が第一選択薬として位置づけられてきたが、HUは二次悪性腫瘍リスクへの懸念、ANAは頭痛・動悸・不整脈・浮腫・心不全といった心血管系副作用や長期使用例での骨髄線維化進展が指摘されており、HU不応・不耐容例の治療選択肢は極めて限定的だった。この空白を埋める薬剤としてベスレミが加わったことが、今回の承認の最大の意義である。

臨床的位置づけとしては、機構は「ANAに対する本薬の有効性の優越性が示されたとは解釈し難い」としており、ANAより本薬を優先する明確な根拠は現時点でないため、第一選択ではなくHU治療歴を有するET患者に対する「治療選択肢の一つ」という整理になっている。投与対象もHU治療歴・血栓症リスク分類を問わない設定とされ、添付文書上は臨床試験に組み入れられた患者背景(血栓症リスク、前治療歴等)を踏まえた適応患者選択が求められる。

臨床的ポイント

  • エビデンスの中核は国際共同第Ⅲ相試験(1101試験):HU抵抗性・不耐容の高リスクET患者174例を対象に、ANAを対照とした非盲検比較試験。主要評価項目である修正ELN基準に基づく持続的奏効率は本薬群42.9%(39/91例)に対しANA群6.0%(5/83例)、群間差36.5%[95%CI 25.4, 47.7]、p<0.0001と良好な成績。
  • ただし非盲検試験としての限界に留意:MPN-SAF TSS(患者報告アウトカム)や脾腫評価には評価バイアスが生じうる可能性が指摘され、機構は末梢血球数の持続的奏効率(客観指標)を中心に評価。それでも本薬群56.0%対ANA群6.0%と大きな差があり、有効性は期待できると判断された。
  • 安全性プロファイルはPVと同様の既知事象が中心:ALT/AST増加、貧血、発熱、尿中β2ミクログロブリン増加、そう痒症、体重減少などで、ET特有の新規安全性シグナルは認められていない。RMPの安全性検討事項(肝機能障害、甲状腺機能障害、骨髄抑制、血栓塞栓症等)に変更なし。
  • 投与期間の柔軟性:PVと同様、52週以降も延長投与試験(SURPASS ET Extension試験)で奏効の継続が確認されており、長期投与時の上限は設定されていない。
  • 妊娠中ET患者にも配慮:細胞減少療法が必要な妊娠中の高リスクET患者において、HUが忌避される一方でインターフェロン製剤は国内外ガイドラインで推奨されており、本薬はこうした患者層でも選択肢となりうる。

薬剤師としては、ET患者への投与時はPVとは異なるB法(250μg開始・急速漸増)が適用される点、HU/ANAからの切替え時は他の細胞減少療法薬の投与終了を確認すべき点、定期的な血液学的検査(好中球数・血小板数・ヘモグロビン量)に基づく用量調整が必須である点を服薬指導・処方監査で押さえておきたい。


アベロックス錠400 mg

製品名: アベロックス錠400 mg(一般名:モキシフロキサシン塩酸塩、バイエル薬品)

承認区分: 医療用医薬品(4)新効能医薬品(公知申請、迅速審査)

効能・効果(適応症): 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、副鼻腔炎に加え、「多剤耐性肺結核」が追加された。適応菌種にも「結核菌」が新たに追加されている。用法・用量(成人:モキシフロキサシンとして1回400 mg 1日1回経口投与)は変更なし。

今回の承認で何が変わったのか

本剤は2005年10月に呼吸器・皮膚感染症等を適応として承認されていたが、今回多剤耐性肺結核(MDR-TB:リファンピシン及びイソニアジドに耐性を示す結核菌による結核)に対する適応が追加された。国内の多剤耐性肺結核の内科治療成功率は50〜75%(薬剤感受性結核の97%以上と比較して低い)で、2021年新規登録50例中2023年時点で16%が死亡と、予後不良な疾患である。WHOや各国ガイドラインでは既に本剤の使用が推奨されていたが、国内では未承認の状態が続いていた。日本結核・非結核性抗酸菌症学会からの要望を受け、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での公知申請該当性評価を経て、新たな臨床試験を実施せずに承認された。これにより、多剤併用が原則となる多剤耐性肺結核治療において、保険診療下で使用できる治療選択肢が正式に1つ増えることになる。

臨床的ポイント

  • 低体重患者への注意喚起は結核適応にも適用:申請者は「多剤耐性肺結核では低用量(200 mg)投与のエビデンスが乏しく、リファンピシン等との相互作用で血中濃度が低下しうる上、長期投与での不十分な曝露はフルオロキノロン耐性選択のリスクを高める」として、既承認効能にある「体重40 kg未満の患者では低用量(200 mg)を用いるなど慎重投与」の注意喚起を結核治療には適用しない方針を提案した。
  • しかし機構は、QT延長等の安全性リスクは適応症によらず低体重患者で血中濃度上昇により高まる点、結核治療は喀痰塗抹陰性化後は通院治療に移行し一律400 mg投与はモニタリング体制の観点で懸念が残る点等を踏まえ、他の適応症と同様の注意喚起(40 kg未満での慎重投与)を多剤耐性肺結核にも適用するよう指示し、専門協議でも支持された。低体重の結核患者に処方する際は、この注意喚起を踏まえた個別判断が必要になる。
  • 安全性データベース(成人50,355例、うち体重40 kg未満348例)では、低体重集団の有害事象プロファイルは全体集団と類似しており、新たな安全性シグナルは認められていない。

ゲムシタビン点滴静注液200 mg/5 mL「NK」

効能・効果: 局所進行上咽頭癌における化学放射線療法の導入療法、再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌(追加) 承認区分: 承認事項一部変更(新効能・新用量、公知申請)

ゲムシタビン塩酸塩は非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌など7つの効能・効果で既承認の代謝拮抗剤だが、本剤は上咽頭癌領域でこれまで国内適応がなかった。今回、日本頭頸部癌学会からの要望を受けた「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での公知該当性評価を経て、新たな臨床試験を実施せず、海外臨床試験成績・国内使用実態調査・NCCN/ESMOガイドライン等の記載に基づき一変申請が行われ、承認された。

追加された用法・用量

  • 局所進行上咽頭癌における化学放射線療法の導入療法: シスプラチン併用(GP療法)のみ。本剤単独投与の有効性・安全性は確立していないため、単独投与は不可(用法・用量に関連する注意に明記)。
  • 再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌: 白金系抗悪性腫瘍剤との併用、または本剤単独投与のいずれも可能。
  • 白金系抗悪性腫瘍剤併用時の投与間隔は週1回×2週連続+休薬1週(他癌腫の週1回×3週連続+休薬とは異なるスケジュール)。
  • 局所進行上咽頭癌に対して白金系抗悪性腫瘍剤と併用する場合は最大3コースまでと上限が設定された(1コースあたり本剤2回投与のため総投与回数は最大6回)。この上限は機構の審査段階で「投与回数3回まで」という申請時表現から「最大3コースまで」に整理された点であり、コース数と投与回数を混同しないよう注意が必要。

臨床的ポイント

  • 欧米6カ国では本剤は上咽頭癌に未承認だが、国際ガイドラインでは治療選択肢として既に位置づけられており、今回の承認で国内の実臨床がガイドライン水準に追いついた形となる。
  • 安全性プロファイルは既承認効能でのものと同様と評価されており、本一変申請に伴う新たな注意事項の追加はない。ただし警告・禁忌(骨髄抑制、間質性肺炎、胸部放射線療法との併用禁忌等)は上咽頭癌領域でも当然適用される。
  • 製造販売後調査は必須とされておらず、通常の安全監視体制での対応となる。
  • 局所進行例の導入療法では放射線療法との時間的関係に注意が必要(本剤と胸部への根治的放射線療法の同時併用は禁忌)。上咽頭癌治療における導入化学療法と後続の化学放射線療法のシークエンスを踏まえた投与計画が求められる。

ゲムシタビン点滴静注用200 mg「タカタ」

製品名: ゲムシタビン点滴静注用200 mg「タカタ」・同点滴静注用1 g「タカタ」(一般名:ゲムシタビン塩酸塩、高田製薬) 承認区分: 承認事項一部変更(新効能・新用量、公知申請) 効能・効果(追加分): 局所進行上咽頭癌における化学放射線療法の導入療法、再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌

何が変わったのか

ゲムシタビンは1999年の非小細胞肺癌以降、膵癌・胆道癌・尿路上皮癌・乳癌・卵巣癌・悪性リンパ腫と適応を広げてきたが、上咽頭癌は本邦で未開発領域だった。今回、日本頭頸部癌学会からの要望を受けた公知申請により、以下2つの用法が新たに追加された。

  • 局所進行上咽頭癌: 化学放射線療法の導入療法として、シスプラチン併用(GP療法)でのみ使用可能(単独投与は有効性・安全性未確立と明記)
  • 再発・遠隔転移を有する上咽頭癌: 白金系抗悪性腫瘍剤との併用、または単独投与のいずれも可

海外6カ国(米・英・独・仏・加・豪)ではゲムシタビンは上咽頭癌に未承認であり、NCCN・ESMOガイドラインや教科書記載を根拠とした公知申請という位置づけである点が特徴的。新規臨床試験は実施されておらず、既存の海外データ・国内使用実態調査・診療ガイドラインの記載内容から有効性・安全性が判断された。

臨床的ポイント

  • 投与回数の上限設定: 局所進行上咽頭癌に白金系抗悪性腫瘍剤を併用する場合、審査過程で「投与回数3回まで」という申請時の表現から「最大3コースまで」に整理された。2週投与のレジメン(1コース2回投与)では3コースで計6回投与となるため、この整理により投与上限の解釈が明確化されている。
  • 単独投与とシスプラチン併用の使い分けに注意: 導入療法における単独投与は有効性・安全性が確立していないため、必ずシスプラチン併用とすること(用法・用量に関連する注意に明記)。一方、再発・遠隔転移例では単独投与も選択肢となる。
  • 安全性プロファイルは既承認効能と同様: 審査報告書では、上咽頭癌に対する主な有害事象は既存の添付文書で注意喚起済みの範囲内と判断されており、警告・禁忌事項に変更はない。ただし胸部への放射線療法との同時併用禁忌など、既存の重要な安全性情報(骨髄抑制、間質性肺炎等)は引き続き遵守が必要。
  • 本剤は上咽頭癌領域における国内初のエビデンスに基づく治療選択肢の追加であり、これまでガイドライン上の海外知見に依拠せざるを得なかった臨床現場に、国内承認薬としての根拠を与えるものである。

オーゼイフル錠0.5 mg・1 mg・2 mg(一般名:オベポレクストン)

製品名:オーゼイフル錠0.5 mg/1 mg/2 mg(一般名:オベポレクストン、武田薬品工業) 承認区分:新有効成分含有医薬品として承認(先駆的医薬品・希少疾病用医薬品に指定) 効能・効果:ナルコレプシータイプ1(NT1) 用法・用量:通常、成人にはオベポレクストンとして1 mgを1日2回経口投与。起床時に1回目を投与し、3〜5時間後に2回目を投与する。忍容性に問題がなく十分な効果が認められない場合に限り、2 mgに増量可能。

何が変わったのか

本剤はオレキシン2受容体(OX2R)を標的とする世界初の選択的作動薬であり、2026年8月時点で海外を含めいずれの国・地域でも承認例のない、日本発の世界初承認となる新規作用機序薬剤である。NT1はオレキシン産生神経細胞の脱落により脳内オレキシンが欠乏することで発症すると考えられているが、従来の治療薬(モダフィニル、メチルフェニデート、オキシベート製剤等)はいずれも覚醒中枢を非特異的に賦活化する対症療法にとどまり、「オレキシン欠乏」という病態の本質にアプローチする薬剤は存在しなかった。本剤はOX2Rを直接刺激することで、失われたオレキシン作動性の覚醒維持シグナルを薬理学的に代替する、機序的に一線を画す治療選択肢である。

臨床的ポイント

  • 有効性の裏付け:国際共同第III相試験(TAK-861-3001試験)において、主要評価項目である覚醒維持検査(MWT)による平均睡眠潜時のベースラインからWeek 12までの変化量で、プラセボ群に対し本剤1 mg・2 mgの両群で統計学的有意差(p<0.001)かつ事前規定の臨床的に意味のある改善基準(2分超の延長)を達成した。副次評価項目のエプワース眠気尺度(ESS)、カタプレキシー週間発現率(WCR)も改善傾向を示し、日中の過度の眠気とカタプレキシーの両症状に対する効果が期待できる。
  • 長期投与時の有効性維持:継続投与試験(2003試験)では評価期間を通じて効果減弱は認められず、長期使用における有用性が示唆されている。
  • 安全性プロファイル:主な有害事象は不眠症、頻尿、尿意切迫といった薬理作用(覚醒亢進・利尿)に関連するもので、多くは非重篤かつ軽度〜中等度。用量依存性は明確でなく、日本人集団でも全体集団と比較して臨床上問題となる傾向は認められなかった。
  • 投与タイミングの管理が必須:起床時投与+3〜5時間後の2回目投与という用法が有効性の担保に直結するため、患者の生活リズムに応じた服薬指導が重要になる。
  • 承認条件:医薬品リスク管理計画(RMP)の策定・実施が付され、市販後の安全性データの継続的な収集が求められる。

ボトックスビスタ注用50単位/同注用100単位

製品名:ボトックスビスタ注用50単位、同注用100単位(一般名:A型ボツリヌス毒素、申請者:アッヴィ合同会社) 承認区分:①ボトックスビスタ注用50単位=【承認事項一部変更】(新効能医薬品・新用量医薬品)、②同注用100単位=新効能医薬品・新用量医薬品(剤形追加) 効能・効果(今回追加分):65歳未満の成人における咬筋膨隆

何が変わったのか

ボトックスビスタは従来、「65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺」にのみ承認されていたが、今回の一部変更承認により「咬筋膨隆」が効能・効果に追加された。国内でA型ボツリヌス毒素製剤が咬筋膨隆に対して承認されるのは本剤が初めてであり、これまで保存的治療(行動様式の修正、咬合スプリント)や外科的治療に限られていた選択肢に、薬物療法としての注射製剤が新たに加わったことになる。

あわせて、既承認製剤であるボトックス注用100単位と原薬・製剤ともに同一のボトックスビスタ注用100単位についても、咬筋膨隆を効能・効果とする新規製造販売承認(剤形追加)が行われ、50単位・100単位いずれの含量でも同適応での使用が可能となった。

用法・用量は「通常、65歳未満の成人にはA型ボツリヌス毒素として合計48〜72単位を左右の咬筋各3部位(合計6部位)に均等に分割して筋肉内注射する」であり、症状再発時の再投与も可能だが3ヵ月以内の再投与は避けることとされた点は、既承認効能(表情皺)と同様の間隔設定である。

臨床的ポイント

  • 有効性の裏付け:国内第Ⅲ相試験(M22-080試験、咬筋膨隆を有する被験者259例、プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験)において、主要評価項目である投与90日後の治験担当医師評価によるMMPS(Masseter Muscle Prominence Scale)で2グレード以上の改善を達成した被験者の割合は、本剤48U群40.9%、72U群39.4%に対しプラセボ群0.0%(いずれもp<0.0001)と、明確な優越性が検証された。
  • 用量選択の考え方:48Uと72Uで主要評価項目の改善割合は同程度だったが、下顔面ボリューム・下顔面幅の減少やMMPS-P(患者報告アウトカム)による改善は72U群でより大きく、実臨床では患者ごとの重症度・希望に応じて医師が48〜72Uの範囲で選択する運用が想定される。
  • 安全性:治療サイクル1における有害事象発現割合はプラセボ群と同程度(プラセボ42.0% vs 本剤48U群45.7%、72U群50.0%)で、繰り返し投与による発現割合の増加傾向もみられなかった。主な事象は上咽頭炎、ざ瘡、インフルエンザ等で局所的・軽度・一過性。遠隔部位への影響に関連する有害事象、重篤な有害事象、試験中止に至った事象はいずれも認められていない。
  • 承認条件:医薬品リスク管理計画の策定・実施に加え、施注手技に関する十分な知識・経験を持つ医師(講習受講済み)による使用、使用後の失活・廃棄の適正管理が求められており、既承認効能と同様に投与医師の資格・管理体制が運用上の要点となる。

イミフィンジ点滴静注120 mg/500 mg

製品名:イミフィンジ点滴静注120 mg、同点滴静注500 mg(一般名:デュルバルマブ〔遺伝子組換え〕、抗PD-L1抗体) 承認区分:承認事項一部変更(新効能・新用量) 効能・効果(追加分):高リスク筋層非浸潤性膀胱癌(BCG膀胱内注入療法歴のない患者) 用法・用量(追加分):カルメット・ゲラン菌(BCG)との併用において、通常成人にはデュルバルマブとして1回1,500 mgを4週間間隔で最大13回、60分間以上かけて点滴静注(体重30 kg以下は20 mg/kg)

何が変わったのか

デュルバルマブはこれまで非小細胞肺癌、肝細胞癌、胆道癌、子宮体癌に加え、2025年9月には「膀胱癌における術前・術後補助療法」(筋層浸潤性膀胱癌に対する周術期使用)が承認されたばかりだった。今回はこれと区別される「高リスク筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)」への適応追加であり、BCG膀胱内注入療法歴のない患者を対象とする点が特徴である。

高リスクNMIBCの標準治療はTURBT後のBCG膀胱内注入療法(導入+維持)だが、再発・BCG不応例は少なくなく、膀胱全摘除術への移行を余儀なくされる患者も多い。今回の適応追加により、BCG療法に本薬を上乗せするという新たな治療選択肢が加わったことが最大の変化である。

臨床的ポイント

  • 根拠となった国際共同第Ⅲ相POTOMAC試験(1,018例、日本を含む12ヵ国・117施設)では、本薬/BCG(導入及び維持)群とBCG単独(導入及び維持)群を比較。
  • 主要評価項目である無病生存期間(DFS)について、2年時点の無病生存率は本薬/BCG群86.5%に対しBCG単独群81.6%、ハザード比0.68[95%CI 0.50-0.93]、p=0.0154と統計学的に有意な改善が示された。
  • 安全性について、治験薬投与期間中または追跡期間中の死亡は本薬/BCG群6/336例、BCG単独群4/339例で、いずれも治験薬との因果関係は否定されている。審査の過程でリスク管理計画(RMP)における膵炎の位置づけが「重要な潜在的リスク」から「重要な特定されたリスク」に変更され、通常の安全性監視活動で対応することとされた。
  • BCG膀胱内注入療法に免疫チェックポイント阻害薬を併用するという治療戦略が国内で初めて実地に導入されることになり、再発抑制および膀胱温存(膀胱全摘除術回避)の選択肢拡大につながる点で臨床的意義が大きい。