承認情報PMDA承認事項一部変更承認

【PMDA承認情報】2026/09/14 医薬品承認一覧

製品名 承認区分 効能効果 PMDA
ブフェニール錠500 mg/顆粒94% 承認事項一部変更 同  顆粒94%【承認事項一部変更】(2026年8月承認分)進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型 詳細
1.ステラーラ点滴静注130 mg 承認事項一部変更 詳細
イムシブリー皮下注10 mg 承認 後天性視床下部性肥満 詳細
ブリヌスプリ錠25 mg 承認 非嚢胞性線維症性気管支拡張症 詳細
フルダラ静注用50 mg 承認事項一部変更 同種造血幹細胞移植の前治療 詳細

ブフェニール錠500 mg/顆粒94%とブフェニール顆粒94%が進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型・2型の適応で承認事項一部変更となり、既存の高フェニルアラニン血症治療薬に新たな適応が加わった。イムシブリー皮下注10 mgは後天性視床下部性肥満を対象に新規承認され、希少な二次性肥満に対する薬物療法の選択肢が広がる。ブリヌスプリ錠25 mgは非嚢胞性線維症性気管支拡張症に対して新規承認され、これまで対症療法が中心だった疾患領域に新たな治療薬が登場する。フルダラ静注用50 mgは同種造血幹細胞移植の前治療への適応拡大が承認事項一部変更として認められた。ステラーラ点滴静注130 mgについても承認事項一部変更が行われている。


ブフェニール錠500 mg/顆粒94%

製品名: ブフェニール錠500 mg、同顆粒94%(一般名:フェニル酪酸ナトリウム) 承認区分: 承認事項一部変更(新効能・新用量) 効能・効果: 尿素サイクル異常症(既存効能)に加え、「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型」を追加

何が変わったのか

本剤は2012年に尿素サイクル異常症の治療薬として承認されて以来使われてきたフェニル酪酸ナトリウム製剤だが、今回の一部変更承認により、希少疾病である進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)1型・2型への適応が新たに追加された。用法・用量も新設され、成人及び体重20 kg以上の小児では1日あたり9.75 g/m²(体表面積)を3回に分割し食前投与、投与開始4週後に13.0 g/m²へ増量(状態により9.75→6.5 g/m²へ減量可)、体重20 kg未満の乳幼児・小児では450 mg/kg/日から開始し600 mg/kg/日へ増量する設計となっている。

PFICに対する治療薬は、本邦では2025年3月にマラリキシバット塩化物、同年9月にオデビキシバット水和物という2剤のIBAT(回腸胆汁酸トランスポーター)阻害薬が承認されたばかりであり、本剤はこれらに続く3剤目・異なる作用機序の選択肢となる。IBAT阻害薬が腸管での胆汁酸再吸収を阻害するのに対し、本剤は肝細胞毛細胆管側膜上のBSEP(胆汁酸排泄ポンプ)の発現量を増加させることで胆汁酸排泄能そのものを増強するという、作用点の異なるアプローチである。既承認薬で効果不十分な症例や、機序の異なる薬剤への切り替え・併用を検討する余地が生まれた点が臨床上のインパクトといえる。

臨床的ポイント

  • 有効性の根拠: 国内第II相医師主導治験(KDN-413-P2試験、PFIC2型6例の非盲検非対照試験)において、主要評価項目である投与後24週目の肝生検による肝組織像の有効割合は50.0%(3/6例)であった。副次評価項目のAST・ALT・γ-GTP・ビリルビン等の肝機能検査値及び皮膚そう痒感は、投与を継続した症例で経時的な改善傾向が認められている。
  • 評価の限界: 症例数が6例と極めて少なく、非盲検非対照デザインであること、主要評価項目の有効性判断基準が事前設定されていなかったことから、機構は個々の症例経過も踏まえた総合的評価が必要としている。PMDAは「PFICは自然経過で肝組織像が悪化する不可逆的疾患である」ことを前提に、投与後の悪化なし=有効と判定する枠組みの妥当性を認めた上で、この点を審査上の留保として明記している。
  • 安全性: 52週間の安全性解析対象6例中、有害事象83.3%(5/6例)、副作用83.3%(5/6例)に認められた。重篤な有害事象(肝硬変、プロカルシトニン増加、高尿酸血症)が2例(33.3%)にみられたが、いずれも本薬との因果関係は否定され転帰は回復。既存の尿素サイクル異常症での長年の使用実績と合わせ、忍容性は許容可能と判断されている。
  • 投与タイミング: PFICでは食前投与とされ、尿素サイクル異常症(食後投与)とは異なる点に注意が必要。剤形選択(錠剤/顆粒)や体重・体表面積に応じた用量設定も既存の尿素サイクル異常症用法とは別立てで規定されている。

ステラーラ点滴静注130mg(ウステキヌマブ)

製品名:ステラーラ点滴静注130mg、同皮下注45mgシリンジ、同皮下注45mgバイアル(一般名:ウステキヌマブ〔遺伝子組換え〕) 承認区分:点滴静注130mg・皮下注45mgシリンジは承認事項一部変更、皮下注45mgバイアルは新規承認(剤形追加、再審査期間中ではない既存剤形への追加) 効能・効果:尋常性乾癬・乾癬性関節炎、中等症から重症の活動期クローン病の導入療法・維持療法、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法・維持療法(いずれも既存治療で効果不十分な場合に限る)— 効能・効果の文言自体に変更はない。

今回の承認で変わったこと

これまでステラーラのクローン病(CD)適応は成人限定であったが、今回の承認により2歳以上の小児にもCDの導入療法・維持療法が適用可能となった。潰瘍性大腸炎や乾癬の適応範囲は変わらず、変更の核心は用法・用量に小児用レジメンが追加された点にある。

  • 導入期(点滴静注、単回投与):体重40kg未満は250mg/m²(体表面積)、40〜55kg以下は260mg、55超〜85kg以下は390mg、85kg超は520mgと、成人の体重区分(260/390/520mg)に体表面積換算の低体重層を追加した形。
  • 維持期(皮下投与):体重40kg未満は60mg/m²、40kg以上は90mgを8週または12週間隔で皮下投与。効果減弱時は投与間隔を8週間へ短縮できる点は成人と同様の運用。
  • 併せて皮下注45mgバイアルが新規に承認され、既存のプレフィルドシリンジに加えてバイアル製剤も選択できるようになった(適応は乾癬・乾癬性関節炎とCD維持療法)。

臨床的ポイント

  • 根拠となったのは2歳以上18歳未満の中等症〜重症活動期CD患者を対象とした国際共同第III相試験(CRD3004試験、非盲検単群の導入期+無作為化二重盲検の維持期、日本人6例含む101例)。
  • 主要評価項目である投与8週時の臨床的寛解達成割合は全体集団46.5%(47/101例)。既存の成人第III相試験(CRD3001・CRD3002試験)のプラセボ群における同割合(7.3〜20.9%)を踏まえた事前規定の比較解析で、CRD3004試験の95%信頼区間下限がプラセボ群の95%信頼区間上限を上回り、小児における一定の有効性が示された。
  • 抗TNF製剤などの生物学的製剤に無効・不耐であったBiologic failure群でも寛解達成割合59.4%と、既治療歴によらず一定の効果が期待できる結果であった。
  • 安全性は成人と同様の傾向で、導入期の重篤な有害事象発現割合3.0%、死亡例なし。小児での新たな安全性シグナルは認められていない。
  • 薬物動態は母集団薬物動態解析により2歳以上18歳未満の小児患者に外挿する形で評価されており、対照群を置かない非盲検試験であることの限界はあるが、成人データとの比較により有効性・安全性の一定の外挿性が確認されている。

臨床現場へのインパクト:既存治療(5-ASA製剤、副腎皮質ステロイド、免疫調節薬、抗TNF製剤等)で効果不十分な小児CD患者に対し、これまで成人にのみ使用できたウステキヌマブが治療選択肢に加わる。IL-12/23阻害という抗TNF製剤とは異なる作用機序を持つため、抗TNF不耐・無効例を含む小児CD治療において選択肢の幅が広がる点が最大の意義である。


イムシブリー皮下注10 mg(セトメラノチド酢酸塩)

効能・効果:後天性視床下部性肥満(aHO) 承認区分:医療用医薬品(1)新有効成分含有医薬品(新規承認) 用法・用量:1日1回皮下投与。0.5 mgから開始し、年齢・体重に応じて1週間ごとに漸増、6歳以上は最大3.0 mgまで PMDAリンク:審査報告書

何が変わったのか——aHOに対する国内初の承認薬剤

これまで本邦において「後天性視床下部性肥満」を効能・効果として承認された薬剤は存在しなかった。頭蓋咽頭腫や視床下部部の腫瘍・その治療(外科手術、放射線療法)に伴う視床下部の器質的損傷により生じる急激かつ重度の体重増加に対し、臨床現場では生活習慣改善(食事・運動療法)以外に有効な薬物治療の選択肢がなく、対症的な対応にとどまっていた。イムシブリーの承認により、aHOに対する薬物治療という新たな選択肢が初めて医療現場に提供されることになる。

なお、本薬(セトメラノチド)は海外ではPOMC欠損症・PCSK1欠損症・LEPR欠損症、Bardet-Biedl症候群など遺伝性肥満症に対してすでに承認例があるが、国内では今回が初承認であり、aHOが本邦における最初の適応となる点にも留意したい。

作用機序

視床下部弓状核のPOMCニューロンから放出されるα-MSHは、MC4R(メラノコルチン4受容体)を活性化することで摂食抑制・エネルギー消費量増加をもたらす。aHOでは視床下部の器質的損傷によりPOMCニューロンが障害され、この経路が機能不全に陥ることで過食・エネルギー消費量低下による急激な体重増加が生じる。本薬はMC4Rアゴニストとして直接受容体を活性化し、この破綻した経路を薬理学的にバイパスすることで空腹感の抑制とエネルギー消費量の改善をもたらす。既存の肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬など)とは異なる作用点であり、視床下部性の食欲調節破綻という病態に特異的にアプローチする薬剤である点が特徴的である。

臨床的ポイント

  • 有効性:検証的試験である国際共同第III相試験(040試験、Pivotal Cohort)では、治療期52週時のベースラインからのBMI変化率がプラセボ群+3.32%に対し本剤群−16.51%(群間差−19.83%[95%CI: −24.55, −15.10]、p<0.0001)と、明確な優越性が示された。日本人部分集団(8例)でも同様の減少傾向が確認されている。
  • 安全性プロファイル:主な有害事象は悪心、嘔吐、皮膚色素過剰、注射部位反応、頭痛など。皮膚色素沈着はMC4Rに加えMC1Rの活性化作用に由来する本剤特有の所見であり、患者への事前説明が重要となる。性的興奮障害関連事象(勃起増強等)も年齢・性別を問わず認められており、添付文書での情報提供と、勃起の持続が生じた場合の受診勧奨が求められる。
  • 副腎機能不全への注意:040試験で副腎機能不全・急性副腎皮質機能不全(いずれも既往を有する症例)が報告されており、本剤投与によるリスクとまでは明確に判断されていないものの、製造販売後調査での継続的な情報収集が予定されている。aHO患者は視床下部・下垂体機能障害を合併しうる背景があり、体調変化時の副腎機能への注意は臨床上重要な観察点となる。
  • 腎機能障害患者への投与:中等度・重度腎機能障害を合併するaHO患者では曝露量が高くなる傾向があるため、腎機能・年齢・体重区分に応じた専用の漸増用法が設定されている。末期腎不全(eGFR 15 mL/min/1.73 m²未満)患者への投与は推奨されない。
  • 投与対象の柔軟性:効能・効果の対象年齢は4歳以上(用法・用量上は6歳以上で成人と同一の漸増法)。BMI 25〜30 kg/m²未満の患者でも一定の有効性が期待できると判断されており、必ずしも高度肥満患者に限定されない設計となっている。

以上より、本剤はaHOという既存治療の空白領域を埋める薬剤であり、視床下部性の食欲調節破綻という病態機序に基づいた治療選択肢を医療現場にもたらす点で臨床的意義が大きい。一方で皮膚色素沈着や副腎機能不全関連事象など本剤特有のモニタリングポイントもあり、製造販売後調査を通じた情報収集の継続が求められる。


ブリヌスプリ錠25mg(ブレンソカチブ水和物)

効能・効果: 非嚢胞性線維症性気管支拡張症(NCFBE) 用法・用量: 通常、成人及び12歳以上の小児には、ブレンソカチブとして25mgを1日1回経口投与 承認区分: 医療用医薬品(1)新有効成分含有医薬品

今回の承認で何が変わるか

NCFBEは、囊胞性線維症(CF)以外を背景疾患とする気管支拡張症で、繰り返す気道感染・気道炎症・気管支壁構造破壊・粘液線毛クリアランスの異常が相互に増悪させ合う「vicious vortex」と呼ばれる病態を呈する。従来、この病態そのものを標的とした承認薬は本邦を含め世界的に存在せず、治療は気道クリアランス法や去痰薬、増悪歴のある患者へのマクロライド系抗菌薬の長期少量投与といった対症的・経験的なアプローチにとどまっていた。ブリヌスプリは、この治療空白を埋める世界初のNCFBE専用薬であり、既に欧米を含む30以上の国・地域で承認済みの薬剤が国内にも導入される形となる。

有効成分のブレンソカチブは、ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)を阻害する低分子薬である。DPP1は骨髄における好中球の成熟過程で好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)等の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)を活性化する酵素であり、NCFBE患者では気道内でのNSP活性化が気道壁損傷・粘液分泌過多・炎症を招き、増悪リスクを高めることが知られている。本薬はDPP1阻害を介してNSPの活性化そのものを抑制するという、既存の抗菌薬・気道クリアランス療法とは作用点が異なる薬剤であり、疾患の中核病態にアプローチする点が最大の特徴である。

臨床的ポイント

  • 国際共同第III相試験(INS1007-301試験)において、主要評価項目である呼吸器疾患増悪(PEx)の年間発現率は、本剤25mg群でプラセボ群に対する比0.81[95%CI 0.69, 0.94]、本剤10mg群で0.79[0.68, 0.92]といずれも統計学的に有意にプラセボを下回り、優越性が検証された(増悪を約2割抑制)。
  • 先行する海外第II相試験(INS1007-201試験)でも、PEx初回発現までの時間がプラセボ群に対し本剤25mg群・10mg群ともに有意に延長し(ハザード比0.62[0.45, 0.84]及び0.58[0.42, 0.80])、増悪抑制効果は早期から一貫して示されている。
  • 承認用法・用量は25mg1日1回だが、両試験を通じ10mgでもほぼ同等の有効性が確認されており、用量反応関係は比較的緩やかである。
  • 安全性プロファイルは概ねプラセボと同程度で、死亡率の上昇や重篤な有害事象の増加は認められなかった。一方、DPP1阻害に伴う特徴的事象として歯周病・過角化などの歯・口腔および皮膚関連事象がプラセボ群よりやや高頻度に認められており、長期投与にあたっては口腔衛生指導や皮膚症状のモニタリングが臨床上の留意点となる。
  • 12歳以上の小児にも成人と同一用量が承認されているが、第III相試験での12歳以上18歳未満の登録例数は限られており(各群30〜40例程度)、製造販売後調査での有効性・安全性の継続的な確認が求められている。

フルダラ静注用50 mg

製品名: フルダラ静注用50 mg(一般名:フルダラビンリン酸エステル、サノフィ株式会社)

承認区分: 製造販売承認事項一部変更承認(公知申請)

効能・効果(変更点): 「同種造血幹細胞移植(HSCT)の前治療」について、従来は「急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫」に限定されていた対象疾患の縛りが撤廃され、疾患を限定しない同種HSCT前治療全般に適応が拡大された。用法・用量(1日30 mg/m²を6日間点滴静注)に変更はない。

何が変わったのか

これまでフルダラビンは前治療薬として使えるがん種が列挙方式で限定されていたため、リストにない疾患(例:再生不良性貧血や骨髄不全症候群、その他の造血器疾患など)での同種HSCTでは、適応外使用として個別に倫理審査や院内手続きを経る必要があった。今回の一変承認により、この列挙が削除され、移植対象疾患を問わず前治療としての使用が可能になった。

背景には、日本造血・免疫細胞療法学会からの要望を受けた「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での公知該当性判断があり、新規の臨床試験は実施されず、国内外の臨床試験成績・後方視的調査・診療ガイドライン等に基づく公知申請として処理された点が特徴である。添付文書の警告・禁忌・安全性プロファイルに変更はなく、機構も新たな安全性上の懸念はないと判断している。

臨床的ポイント

  • 移植前処置レジメンの設計自由度が向上: FLU/BUやFLU/MELなど、フルダラビンを含む前処置法を、疾患ごとに個別の適応外使用手続きを踏まずに選択できるようになる。特に非悪性疾患(再生不良性貧血等)や希少な血液疾患でのHSCTにおいて、実務上の障壁が下がる。
  • 添付文書上の注意点は不変: 骨髄抑制、遷延性リンパ球減少による免疫不全、自己免疫性溶血性貧血、放射線非照射血輸血によるGVHD、ペントスタチン併用禁忌などの警告事項はそのまま維持されており、同種HSCTに十分な知識・経験を持つ医師のもとでの使用という前提も変わらない。
  • 用法・用量に関連する注意が新設: 「本剤の投与にあたっては、国内外の最新のガイドライン等を参考に、適応患者の選択を行うこと」「併用する他の抗悪性腫瘍剤等は、国内外の最新のガイドライン等を参考にした上で選択すること」との文言が追加され、疾患非限定化に伴い、施設・医師の裁量とガイドライン遵守がより重視される設計になっている。
  • 製造販売後調査: 安全性プロファイルに変化はないとの判断から、承認後直ちの製販後調査実施の必要性は低いとされ、通常の安全監視体制での対応となる。