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AIテクノロジーソフトウェア開発Claude Code

AIが変えるソフトウェア開発:エージェント型コーディングツールの台頭

はじめに

ソフトウェア開発の世界は、AI の登場により根本的な変革期を迎えています。かつては「コード補完」程度だったAIの支援が、2025年以降は**自律的にコードを書き、テストし、デバッグする「エージェント型コーディングツール」**へと進化しました。

本記事では、薬剤師でありエンジニアでもある筆者の視点から、AIコーディングツールの最新動向と実務への影響を解説します。


AIコーディングツールの進化の軌跡

第1世代:コード補完(2021〜2023年)

GitHub Copilotの登場が転機でした。エディタ上でコードを書いていると、AIが次に書くべきコードを予測して提案してくれます。便利ではあるものの、あくまで「補完」の域を出ないものでした。

第2世代:対話型コーディング(2023〜2024年)

ChatGPTやClaude などの対話型AIにコードの質問をしたり、コード生成を依頼したりするスタイルが広がりました。Cursor(AIエディタ)のように、エディタ内でAIと対話しながらコーディングできるツールも登場しました。

第3世代:エージェント型(2025年〜)

2025年に登場したClaude Codeは、この流れを決定づけました。ターミナルから自然言語で指示するだけで、AIが自律的にファイルを読み、コードを書き、テストを実行し、Git操作まで行います。人間の役割は「何を作るか」を指示し、結果をレビューすることへとシフトしました。


主要なAIコーディングツール比較

Claude Code

Anthropic社が開発したエージェント型のCLIコーディングツールです。

特徴

  • ターミナル上で動作し、プロジェクト全体を理解した上でコーディング
  • ファイルの読み書き、Git操作、テスト実行を自律的に実行
  • サブエージェント機能で複数タスクを並列処理
  • エージェントスキルによるカスタマイズが可能
  • 最大100万トークンのコンテキストでリポジトリ全体を把握

2025年5月の一般リリース以来、急速に進化を続けており、2026年2月時点ではデスクトップ版も登場しています。

GitHub Copilot

Microsoft/GitHub が提供する、最も広く使われているAIコーディング支援ツールです。

特徴

  • VS Code、JetBrains IDEなど主要エディタに統合
  • リアルタイムのコード補完
  • Copilot Chatによる対話型コーディング
  • Copilot Workspaceによるエージェント型機能(プレビュー)

Cursor

AI-first で設計されたコードエディタです。

特徴

  • VS Code ベースのUIで学習コストが低い
  • コードベース全体を理解したAI応答
  • Composer機能による複数ファイルの一括編集
  • 複数のAIモデルを選択可能

エージェント型ツールが変える開発ワークフロー

Before:従来の開発フロー

要件定義 → 設計 → コーディング → テスト → レビュー → デプロイ
  (人間)    (人間)    (人間)      (人間)    (人間)     (人間)

After:AIエージェント活用の開発フロー

要件定義 → 設計 → コーディング → テスト → レビュー → デプロイ
  (人間)   (人間+AI)  (AI+人間)    (AI)    (人間)    (自動化)

人間の役割が「実装」から「設計・レビュー」にシフトしています。コードを書くことよりも、**何を作るべきか(要件定義)正しく作られているか(レビュー)**に注力する時代になりつつあります。

実際の開発シナリオ

例えば、このWebサイト(iruyo)のデザイン改修では、以下のようなフローで作業を進めました。

  1. デザインの方向性を指示:「Modern Japanese Editorialのデザインに改修して」
  2. AIがコードベース全体を分析:既存の構造、使用技術、デザインパターンを把握
  3. AIが設計を提案:カラーパレット、タイポグラフィ、アニメーションの設計
  4. AIがコードを実装:Tailwind CSS設定、コンポーネント、各ページの更新
  5. 人間がレビュー・フィードバック:「カードの高さを統一して」→ AIが修正

この一連の作業が、数十分で完了します。


AI駆動開発の実践ポイント

1. 明確な指示を出す

AIに曖昧な指示を出すと、曖昧な結果が返ってきます。以下のような具体的で明確な指示が効果的です。

良い例

「ProductCardコンポーネントのカードの高さを統一して。Flexboxを使って、画像・テキスト・ストアバッジの3セクションに分け、テキスト部分をflex-1で可変にしてほしい」

悪い例

「カードの見た目を直して」

2. 段階的に依頼する

大きなタスクを一度に依頼するより、段階的に依頼してレビューを挟む方が品質が安定します。

3. テストを重視する

AIが書いたコードは必ず動作確認をしましょう。AIはコードの文法的正確さには強いですが、ビジネスロジックの妥当性や既存コードとの整合性で誤ることがあります。

4. CLAUDE.mdによるプロジェクト設定

Claude Code では、プロジェクトルートにCLAUDE.mdファイルを置くことで、プロジェクト固有の規約やルールをAIに伝えることができます。チームでの利用では特に重要です。


AIコーディングツールと薬剤師の共通点

一見無関係に見えますが、AIコーディングツールの考え方は薬剤師業務のAI活用にも通じます。

AIコーディング薬局AI
AIがコードを生成 → 人間がレビューAIが処方監査 → 薬剤師が最終判断
AIがテストを自動実行AIが相互作用を自動チェック
人間は設計と要件定義に集中薬剤師は対人業務に集中
AIの出力を鵜呑みにしないAIの判定を鵜呑みにしない

どちらの領域でも、AIはあくまで支援ツールであり、最終判断は人間(専門家)が行うという原則は変わりません。


オープンソース AI の台頭

2025年は、オープンソースのAIモデルが大きく進歩した年でもありました。

  • DeepSeek-R1:クローズドモデルに匹敵する推論能力をオープンソースで提供
  • Llama 3(Meta):商用利用可能なオープンソースLLM
  • Mistral(フランス):効率的な小型モデルで注目
  • 日本語モデル:Sakana AI TinySwallow、NVIDIA Nemotron-Nano日本語版など

オープンソースモデルの台頭は、AIの民主化を推進し、中小企業や個人開発者にもAI活用の道を開いています。当サイトのプロダクト群も、こうしたAI技術の恩恵を受けて開発されています。


まとめ

AIコーディングツールは、「コード補完」から「自律型エージェント」へと進化を遂げました。この変化は、ソフトウェア開発者だけでなく、すべての業界のDXに影響を与えます。

薬剤師としてもエンジニアとしても、AIの進化を正しく理解し、自分の業務にどう活かせるかを考え続けることが重要です。AI News では、こうしたAI技術の最新動向を毎日キュレーションしていますので、ぜひチェックしてみてください。


参考リンク