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かかりつけ薬剤師制度とは?要件・メリット・2024年改定のポイントを徹底解説

(更新: 2026年2月21日)

はじめに

「いつも同じ薬剤師に相談できたらいいのに」——そんな患者の声から生まれたのがかかりつけ薬剤師制度です。2016年の調剤報酬改定で導入されて以来、地域医療における薬剤師の役割をより重要なものにしてきました。

本記事では、制度の基本から2024年度改定での変更点、地域連携薬局との関連まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。


かかりつけ薬剤師制度の概要

制度の目的

かかりつけ薬剤師制度は、患者が信頼できる特定の薬剤師を「かかりつけ」として選び、薬に関する相談を一元的・継続的に受けられる仕組みです。

従来の薬局では、来局するたびに異なる薬剤師が対応することがありました。その結果、患者の薬歴や体質、生活習慣を十分に把握できないまま服薬指導が行われるケースがありました。かかりつけ薬剤師制度は、この課題を解決するために設けられたものです。

制度の法的根拠

かかりつけ薬剤師に関する報酬は、厚生労働省が定める調剤報酬点数表に規定されています。具体的には以下の2つの点数が設定されています。

区分点数内容
かかりつけ薬剤師指導料76点個別の服薬指導ごとに算定
かかりつけ薬剤師包括管理料291点包括的な薬学管理を行う場合に算定

かかりつけ薬剤師の認定要件

かかりつけ薬剤師として届け出るためには、以下の5つの要件すべてを満たす必要があります。

1. 薬剤師経験:3年以上

保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験が必要です。病院勤務経験は含まれないため、薬局での実務経験が求められます。これは、地域の患者と継続的に関わるための基礎的な臨床経験を確保する趣旨です。

2. 勤務時間:週32時間以上

当該薬局に週32時間以上勤務していることが求められます。これは、患者が来局した際に高い確率でかかりつけ薬剤師に会えるようにするための要件です。パートタイム勤務では要件を満たせない点に注意が必要です。

3. 在籍期間:1年以上

当該薬局に1年以上継続して在籍していることが求められます。頻繁に異動する薬剤師では、患者との継続的な信頼関係を構築することが困難だからです。

4. 研修認定の取得

**薬剤師認定制度認証機構(CPC)**が認証する研修認定を取得していることが求められます。具体的には以下の認定が該当します。

  • 日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師
  • 各都道府県薬剤師会の生涯学習認定薬剤師
  • その他CPC認証を受けた研修プログラムの修了

継続的な自己研鑽を担保するための要件です。

5. 地域活動への参加

地域の多職種連携会議や健康相談会、学校薬剤師業務など、地域の医療・保健活動に参加していることが求められます。薬局の中だけでなく、地域全体の健康に貢献する姿勢が求められています。


患者にとっての4つのメリット

1. 薬の一元管理で安全性が向上

複数の医療機関を受診している患者は、それぞれの医療機関で処方された薬の情報が分散しがちです。かかりつけ薬剤師がいれば、すべての処方薬を一元的に把握し、以下のリスクを未然に防ぐことができます。

  • 重複投薬:同じ成分の薬が複数処方されていないか
  • 相互作用:薬同士の飲み合わせに問題がないか
  • 禁忌チェック:患者のアレルギーや既往歴に照らして安全か
  • OTC医薬品・サプリメントとの相互作用:市販薬との飲み合わせ確認

2. 24時間の相談体制

かかりつけ薬剤師は、開局時間外でも電話等で相談に応じる体制を整えています。

  • 夜間に急な副作用が出た場合の対応相談
  • 飲み忘れた場合の対処法
  • 旅行先での薬に関する質問
  • 災害時の服薬継続に関する相談

「いつでも相談できる薬剤師がいる」という安心感は、特に高齢の患者や複数の持病を持つ患者にとって大きな支えとなります。

3. 在宅訪問への対応

通院が困難な患者に対しては、かかりつけ薬剤師が自宅を訪問して以下のサービスを提供します。

  • 残薬の確認と整理
  • 一包化や服薬カレンダーの作成
  • 服薬状況のモニタリング
  • 処方医への情報提供(副作用の疑い、服薬アドヒアランスの報告)

高齢化が進む日本において、在宅医療に対応できる薬剤師の存在はますます重要になっています。

4. 服薬フォローアップ

2020年の薬機法改正により、薬剤師には服薬期間中のフォローアップが義務化されました。かかりつけ薬剤師であれば、患者の状態を継続的に把握しているため、より的確なフォローアップが可能です。


2024年度調剤報酬改定での変更点

2024年6月施行の令和6年度調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師制度に関していくつかの重要な見直しが行われました。

休日・夜間の対応要件の緩和

これまでかかりつけ薬剤師個人に求められていた24時間対応について、休日・夜間等のやむを得ない場合は薬局単位での対応でも可能になりました。

これにより、かかりつけ薬剤師の負担が軽減され、ワークライフバランスの改善が期待されています。

連携薬剤師の複数名対応

かかりつけ薬剤師と連携して対応する薬剤師の範囲が見直され、複数名での対応が可能になりました。チーム体制でのサポートが認められたことで、より安定したサービス提供が可能になります。

地域支援体制加算の要件強化

薬局の地域における「かかりつけ機能」を適切に評価する観点から、地域支援体制加算の要件が見直されました。

  • 地域支援体制加算1:10の実績要件のうち8項目以上を満たすことが必要
  • かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定回数合計が年40回以上
  • 連携強化加算が2点から5点に引き上げ

地域連携薬局・健康サポート薬局との関係

かかりつけ薬剤師制度は、厚生労働省が推進する薬局の機能分化・強化の一環です。関連する認定制度として以下があります。

地域連携薬局

2021年8月に施行された認定制度で、入退院時や在宅医療の場面で他の医療機関と連携してサポートできる薬局として都道府県知事の認定を受けた薬局です(厚生労働省 薬局・薬剤師に関する情報)。

かかりつけ薬剤師の配置は、地域連携薬局の認定要件の基盤となっています。

健康サポート薬局

2016年4月に施行された届出制度で、かかりつけ薬局としての基本的機能に加え、地域住民の健康増進を積極的に支援する薬局です。健康相談会の開催や禁煙支援、栄養相談など、予防医療にも取り組みます。


実務上の課題と対応

シフト配布の課題

かかりつけ薬剤師制度では、患者が「この薬剤師に相談したい」と思ったとき、その薬剤師がいつ薬局にいるのかが重要です。

患者にシフト表を配布することが求められますが、以下の課題があります。

  • 見やすく正確なシフト表の作成に手間がかかる
  • 紙での配布は更新が反映されにくい
  • 患者がシフト表を紛失してしまう

こうした課題を解決するために生まれたのが iru-yo です。簡単な操作で美しいシフト表を作成し、画像として患者さんにLINEやメールで配布できます。

かかりつけ薬剤師の同意取得

患者からかかりつけ薬剤師の同意書にサインをもらう必要がありますが、「どのタイミングで提案すべきか」「断られたらどうするか」といった心理的なハードルがあります。

ポイントは、日常の服薬指導の中で信頼関係を築いた上で、自然な流れで提案することです。「いつもお薬の管理をお手伝いさせていただいていますが、かかりつけ薬剤師として正式に担当させていただくと、お薬手帳の一元管理や時間外の相談もできるようになります」といった説明が効果的です。


まとめ

かかりつけ薬剤師制度は、患者と薬剤師の信頼関係を基盤とした、地域医療に欠かせない仕組みです。2024年度の改定では対応要件が緩和され、より取り組みやすくなっています。

患者にとっては薬の安全管理・24時間相談・在宅対応というメリットがあり、薬剤師にとっては専門性を発揮し、患者から選ばれる薬剤師になるための制度です。

薬局を訪れた際は、ぜひかかりつけ薬剤師について相談してみてください。


参考リンク