マイナ保険証と薬局:オンライン資格確認の仕組みと活用術
はじめに
2024年12月に従来の健康保険証の新規発行が終了し、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への移行が本格化しました。薬局においても、オンライン資格確認(オン資)の活用が日常業務に組み込まれています。
本記事では、マイナ保険証の基本的な仕組みから、薬局での具体的な活用方法、そして患者対応のポイントまでを解説します。
オンライン資格確認の仕組み
基本的な流れ
オンライン資格確認は、以下の流れで行われます。
- 患者がカードリーダーにマイナンバーカードをかざす
- 顔認証または暗証番号で本人確認を実施
- 医療保険の資格情報がオンラインで確認される
- 同意取得のうえ、薬剤情報・特定健診情報を閲覧可能
確認できる情報
オンライン資格確認を通じて、薬局では以下の情報を確認できます。
| 情報カテゴリ | 具体的な内容 |
|---|---|
| 資格情報 | 保険者名、被保険者番号、負担割合、有効期限 |
| 薬剤情報 | 過去3年分の処方・調剤情報(患者同意時) |
| 特定健診情報 | 直近5回分の健診結果(患者同意時) |
| 限度額情報 | 高額療養費の限度額区分 |
薬局での活用メリット
1. 正確な資格確認による返戻削減
従来の保険証では、資格喪失後に受診されるケースや、保険者番号の転記ミスによるレセプト返戻が少なくありませんでした。オンライン資格確認により、リアルタイムで資格の有効性を確認できるため、こうした事務的なロスを大幅に削減できます。
2. 薬剤情報の活用
患者の同意を得たうえで閲覧できる薬剤情報は、薬局業務において非常に有用です。
重複投薬の確認:複数の医療機関から同じ成分の薬が処方されていないか確認できます。特に高齢者のポリファーマシー対策として重要です。
相互作用のチェック:他院で処方されている薬との相互作用を確認し、必要に応じて疑義照会を行えます。
残薬の推測:過去の処方履歴から、患者が薬を余らせていないか推測し、残薬調整の提案に活用できます。
3. 特定健診情報の活用
特定健診の結果(血圧、血糖値、脂質など)を確認することで、処方薬の効果モニタリングや、生活習慣改善のアドバイスに活かせます。例えば、HbA1cの推移を見ながら糖尿病治療薬の服薬指導を行うことで、より具体的で説得力のある指導が可能になります。
4. 限度額適用認定証の省略
高額療養費制度を利用する患者は、これまで限度額適用認定証を事前に取得する必要がありました。オンライン資格確認により、限度額情報が自動的に確認されるため、患者の手続き負担が軽減されます。
患者対応のポイント
同意取得の実務
薬剤情報や特定健診情報の閲覧には、患者の同意が必要です。同意取得にあたっては、以下のポイントを押さえましょう。
- メリットを具体的に説明する:「他の病院でもらっているお薬との飲み合わせを確認できます」など、患者にとってのメリットを伝える
- 強制しない:同意は任意であることを明確に伝える
- 来局のたびに確認:同意は来局ごとに取得する仕組みのため、繰り返し説明する機会がある
マイナ保険証を持っていない患者への対応
マイナンバーカードを持っていない、または保険証利用の登録をしていない患者には、資格確認書による対応が可能です。従来の保険証が使えなくなることへの不安を感じている患者も多いため、丁寧な説明を心がけましょう。
トラブル対応
カードリーダーの不具合や通信障害が発生した場合の対応手順を、あらかじめスタッフ間で共有しておくことが重要です。
- 顔認証がうまくいかない場合は暗証番号入力に切り替える
- 通信障害時は、マイナンバーカードの券面情報で対応する
- 機器故障時の連絡先と代替手段を掲示しておく
電子処方箋との連携
オンライン資格確認の基盤は、電子処方箋システムと共通です。電子処方箋が普及すれば、以下のようなメリットが期待されます。
- 処方箋の偽造防止
- リアルタイムの重複投薬チェック
- 処方箋の紛失リスクの解消
- 薬局間での処方情報共有の効率化
現在、電子処方箋の普及率はまだ発展途上ですが、今後の医療DXの中核を担う仕組みとして、薬局は早期の対応準備を進めることが望まれます。
まとめ
マイナ保険証とオンライン資格確認は、薬局業務の効率化と医療安全の向上を両立する重要なインフラです。単なる保険証の電子化にとどまらず、薬剤情報の一元管理や電子処方箋との連携など、薬局DXの基盤として活用していきましょう。日々の業務の中で積極的に活用し、患者さんにもそのメリットを実感していただくことが、普及の鍵となります。