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【2025年6月完全義務化】薬局ホームページに掲載必須の情報まとめ|チェックリスト付き

はじめに

2025年6月1日、薬局の書面掲示事項をウェブサイトに掲載する義務が完全施行されました。経過措置期間(〜2025年5月31日)はすでに終了しており、対応が済んでいない薬局は早急な対応が必要です。

薬局がWeb上で公開すべき情報は、実は複数の法令・制度にまたがって存在します。本記事では、薬局責任者が把握すべき3つの制度を軸に、掲載が必要な情報を網羅的に整理しました。


薬局のWeb情報公開を規定する3つの制度

薬局がホームページに掲載すべき情報は、以下の3つの制度から導かれます。

制度根拠法令概要
A. 書面掲示事項のウェブサイト掲載保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則薬局内掲示と同等の情報をWebにも掲載
B. 薬局機能情報提供制度薬機法第8条の2薬局の機能情報を都道府県に報告・公表
C. 広告規制薬機法第66条〜第68条Webサイト上の表現に関する規制
graph TD
    A["薬局ホームページ"] --> B["A. 書面掲示事項<br/>(2025年6月〜義務化)"]
    A --> C["B. 薬局機能情報提供制度<br/>(G-MIS経由で公表)"]
    A --> D["C. 広告規制<br/>(薬機法に基づく表現規制)"]
    B --> E["掲載しないと<br/>加算算定に影響"]
    C --> F["都道府県への報告義務<br/>+医療情報ネットで公表"]
    D --> G["違反すると行政処分<br/>・罰則の対象"]

A. 書面掲示事項のウェブサイト掲載(最重要)

制度の経緯

令和6年度(2024年度)診療報酬改定で、デジタル原則に基づき保険薬局の書面掲示事項をウェブサイトにも掲載する義務が新設されました。

  • 経過措置期間:2025年5月31日まで
  • 完全義務化:2025年6月1日〜
  • 例外:自らホームページ等を管理・運営していない薬局は免除

掲載が必要な3つの事項

1. 調剤管理料・服薬管理指導料に関する事項

薬局における薬学的管理の取り組みについて、以下のような内容を掲載します。

  • 患者の投薬歴・副作用情報・アレルギー情報の確認に基づく薬学的分析を行っている旨
  • 処方内容の安全確認と適切な服用方法の指導を実施している旨

2. 地方厚生局長に届け出た施設基準・加算

届出内容すべてを掲載する必要があります。 主な項目は以下のとおりです。

区分主な掲載項目
基本料関連調剤基本料の区分(1・2・3イ・3ロ等)
後発医薬品後発医薬品調剤体制加算の区分、直近3か月の数量割合
地域支援地域支援体制加算の区分、要件充足状況
在宅関連在宅薬学総合体制加算の区分、在宅実績
DX関連医療DX推進体制整備加算、医療情報取得加算
その他連携強化加算、無菌製剤処理加算、かかりつけ薬剤師指導料 等

3. 明細書の発行状況

以下の趣旨を掲載します。

当薬局では、領収証とあわせて「調剤報酬の算定項目が記載された明細書」を無料でお渡ししております。

追加で掲載が必要な事項

上記3つに加え、以下の情報もウェブサイトに掲載する必要があります。

  • 医療DX推進の体制:オンライン資格確認システムの活用、マイナ保険証の利用促進、電子処方箋への対応状況
  • 保険外費用:容器代、在宅時の交通費、郵送料金など、療養の給付と直接関係のないサービス費用
  • 長期収載品の選定療養:後発医薬品がある先発医薬品を選択した場合の自己負担に関する情報

医療DX推進体制整備加算との関係

「医療DX推進体制整備加算」の算定要件には、ウェブサイトでの情報掲載が明確に含まれています。未対応の場合は加算を算定できません

具体的な掲載必須項目は以下のとおりです。

  1. オンライン資格確認等システムを活用し、患者の薬剤情報・特定健診情報等を取得・活用している旨
  2. マイナンバーカードの健康保険証利用を促進している旨
  3. 電子処方箋の対応状況
  4. 電子カルテ情報共有サービスの活用状況(該当する場合)

B. 薬局機能情報提供制度

制度の概要

薬機法第8条の2に基づき、薬局開設者は薬局の機能に関する情報を都道府県知事に報告する義務があります。報告された情報は「医療情報ネット(ナビイ)」を通じて国民に公表されます。

この制度は薬局のホームページに直接掲載する義務ではありませんが、報告漏れがあると行政指導の対象となり、また、公表情報がホームページと矛盾していると患者の信頼を損なうため、正確な報告と整合性の確認が重要です。

報告項目の全体像

graph LR
    A["薬局機能情報<br/>報告項目"] --> B["基本情報<br/>(15項目)"]
    A --> C["サービス・アクセス<br/>情報"]
    A --> D["業務内容<br/>提供サービス"]
    A --> E["費用負担<br/>情報"]
    A --> F["地域連携<br/>体制"]
    B --> B1["変更から<br/>30日以内に随時報告"]
    C --> C1["定期報告<br/>(年1回)"]
    D --> C1
    E --> C1
    F --> C1

基本情報(変更から30日以内に報告が必要な15項目)

No.項目
1薬局の名称
2薬局開設者
3薬局の管理者
4薬局の所在地
5薬局の面積
6店舗販売業の併設の有無
7電話番号・ファクシミリ番号
8電子メールアドレス
9営業日
10開店時間
11開店時間以外で相談できる時間
12健康サポート薬局である旨の表示の有無
13地域連携薬局の認定の有無
14専門医療機関連携薬局の認定の有無および傷病の区分
15薬剤師不在時間の有無

提供サービス・業務内容(定期報告で報告)

  • 無菌製剤処理の実施可否
  • 一包化薬の対応
  • 麻薬調剤の可否
  • 訪問薬剤管理指導の実施状況
  • オンライン服薬指導の対応状況
  • 認定薬剤師の種類・人数
  • 健康サポート薬局研修修了薬剤師の人数
  • 医療保険・公費負担の取扱い
  • 電子決済の可否

報告のスケジュール

報告種別タイミング方法
新規報告薬局開設許可取得時に速やかにG-MIS
定期報告12月31日時点の情報を例年1〜2月にG-MIS
随時報告基本情報15項目の変更から30日以内G-MIS

ポイント:報告にはG-MIS(医療機関等情報支援システム)を使用します。インターネットを利用できない施設のみ文書提出が認められています。


C. 広告規制(薬機法)

薬局のウェブサイトは広告媒体とみなされる場合があります。以下の規制に注意が必要です。

広告と判断される3要件

以下の3つをすべて満たす場合、薬機法上の「広告」と判断されます。

  1. 顧客を誘引する意図が明確であること
  2. 特定の医薬品等の商品名が明らかにされていること
  3. 一般人が認知できる状態であること

やってはいけない表現

禁止事項具体例
虚偽・誇大広告「どんな病気も治る薬を揃えています」
未承認薬の広告国内未承認の医薬品をサイトで紹介
医療用医薬品の一般人向け広告処方薬の効能効果を患者向けに掲載
効能効果の保証表現「この薬を飲めば必ず治ります」

罰則

  • 虚偽・誇大広告:2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(または併科)
  • 課徴金制度:対象売上額の4.5%
  • 行政処分:業務改善命令、業務停止命令、許可取消し

認定薬局制度と情報公開

現行の認定薬局制度

薬局が取得できる認定・表示には以下の3種類があり、認定状況はホームページでも適切に記載すべき事項です。

認定区分認定主体主な要件
地域連携薬局都道府県知事在宅対応、医療機関との情報連携、休日夜間対応
専門医療機関連携薬局都道府県知事がん等の専門的な薬学管理、専門医療機関との連携
健康サポート薬局届出制健康相談対応、要指導医薬品等の適切な取扱い

2025年薬機法改正:健康増進支援薬局の新設

2025年5月に公布された改正薬機法により、「健康増進支援薬局」の認定制度が新設されました。

  • 従来の「健康サポート薬局」の届出制から都道府県知事の認定制に格上げ
  • 利用者の医薬品使用情報の把握と、薬学的知見に基づく健康保持増進の指導を行う機能が要件
  • 施行時期:公布から2年以内(2027年頃を予定)

施行後は「健康増進支援薬局」の認定状況もホームページに掲載すべき情報になると見込まれます。今から準備を進めておきましょう。


薬局ホームページ掲載チェックリスト

以下のチェックリストで、自薬局のホームページの掲載状況を確認してください。

必須掲載事項(書面掲示のWeb掲載義務)

  • 調剤管理料・服薬管理指導料に関する薬学的管理の取り組み
  • 地方厚生局長に届け出た施設基準・加算の一覧
  • 調剤基本料の区分
  • 後発医薬品調剤体制加算の区分と後発品数量割合
  • 地域支援体制加算の区分(該当する場合)
  • 在宅薬学総合体制加算の区分(該当する場合)
  • 連携強化加算(該当する場合)
  • 無菌製剤処理加算(該当する場合)
  • かかりつけ薬剤師指導料(該当する場合)
  • 明細書の無料発行に関する記載
  • 保険外費用(容器代・交通費・郵送料等)の案内
  • 長期収載品の選定療養に関する情報

医療DX推進体制整備加算を算定する場合(追加必須)

  • オンライン資格確認システムの活用状況
  • マイナンバーカード健康保険証利用の促進
  • 電子処方箋の対応状況
  • 電子カルテ情報共有サービスの活用状況(該当時)

薬局機能情報提供制度(G-MIS報告との整合性)

  • 薬局名・所在地・電話番号が最新の情報と一致している
  • 営業日・開店時間が正確に記載されている
  • 管理薬剤師名が記載されている
  • 認定薬局の区分(地域連携・専門医療機関連携・健康サポート)が正確
  • 提供サービス(在宅対応・オンライン服薬指導等)が正確

広告規制への適合

  • 医療用医薬品の具体的な効能効果を一般向けに記載していない
  • 虚偽・誇大な表現がない
  • 効能効果の保証表現がない

実務的な対応方法

掲載方法の選択肢

方法メリットデメリット
ホームページに直接記載患者がすぐ確認できる更新にWeb知識が必要
PDFを作成しリンク掲載薬局内掲示物を流用しやすいスマホで見づらい場合がある
Googleドライブ等にPDFをアップロード無料で手軽、更新が容易リンク切れに注意が必要

更新・運用のポイント

  1. 情報の鮮度を保つ:施設基準の届出変更時には速やかにWebも更新する
  2. 導線を明確にする:トップページから1〜2クリックで掲載情報にたどり着ける構成にする
  3. スマートフォン対応:患者の多くはスマホで閲覧するため、表示が崩れないか確認する
  4. 更新担当者を決める:誰が・いつ更新するかルールを明文化しておく
  5. 定期点検を実施する:最低でも半年に1回、リンク切れや記載内容の整合性を確認する

規模別の推奨対応

薬局規模推奨アプローチ
個人薬局既存ホームページにPDFリンクを追加。ホームページがなければ無料ツールで簡易サイトを作成
中小グループCMS(WordPress等)で統一管理。更新マニュアルを整備し、各店舗の情報を正確に区別
大手チェーン情報一元管理システムの構築。G-MIS報告とWebサイトを連動させるDX推進チーム体制

対応スケジュールと今後の見通し

時期内容状況
2024年6月書面掲示事項のWeb掲載義務 新設(経過措置付き)施行済み
2025年5月31日経過措置終了終了
2025年6月1日〜Web掲載の完全義務化対応必須
2025年5月改正薬機法 公布(健康増進支援薬局等)公布済み
2025年11月〜改正薬機法の段階的施行開始順次施行中
2026年度調剤報酬改定(DX関連加算のさらなる強化の可能性)改定済み
2027年頃健康増進支援薬局の認定制度 施行予定準備段階

まとめ

薬局がWeb上で公開すべき情報は、単なるホームページの充実ではなく、法令で定められた義務です。

特に重要なポイントを3つに絞ると以下のとおりです。

  1. 書面掲示事項のWeb掲載は2025年6月から完全義務化済み——未対応の場合は速やかに対応する
  2. 医療DX推進体制整備加算の算定にはWeb掲載が要件——加算収入に直結する
  3. 薬局機能情報提供制度の報告内容とWebサイトの整合性を保つ——矛盾があると信頼を損なう

ホームページを「あれば良い」ものから「適切に管理すべき法的インフラ」へと意識を切り替え、定期的な更新体制を整えることが、これからの薬局経営には不可欠です。


参考リンク