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【2026年 薬局 基本料】調剤基本料の全区分を徹底解説|点数・要件・経営シミュレーション

はじめに:2026年 薬局 基本料の改定が経営を左右する

調剤基本料は、薬局が処方箋を受け付けるたびに算定する最も基礎的な報酬項目です。すべての調剤報酬の土台であり、薬局経営の収益構造を根本から規定しています。

2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定では、この調剤基本料に大きな変更が加えられました。2026年2月13日の中医協総会で答申が確定し、施行日は2026年6月1日です。

今回の改定のキーワードは「立地依存からの脱却」です。全区分の基本料が引き上げられる一方、門前薬局や医療モール内薬局に対しては立地依存減算(-15点)の新設基本料2の適用拡大など、厳しい措置が講じられました。2026年の薬局基本料改定は、薬局のビジネスモデルそのものに転換を迫る内容となっています。

本記事では、2026年の薬局基本料に関するすべての変更を、点数・算定要件・経営シミュレーションを交えて徹底解説します。

関連記事: 改定内容の全体像は【2026年調剤報酬改定】薬局が知るべき全変更点を徹底解説をご覧ください。管理料の変更については【2026年】薬局の調剤管理料を徹底解説で詳しく解説しています。


調剤基本料とは?基本のおさらい

算定の仕組み

調剤基本料は、処方箋受付1回につき1回算定される報酬です。1枚の処方箋に複数の薬剤が含まれていても、算定は1回です。

薬局が処方箋を受け付けた際の報酬は、大きく以下の構成となっています。

  1. 調剤基本料(本記事のテーマ)
  2. 調剤管理料
  3. 服薬管理指導料
  4. 薬剤料
  5. 各種加算

調剤基本料は、このうち最も基本となる部分であり、薬局の立地・規模・集中率によって区分が決まります。

施設基準の判定期間

調剤基本料の区分を決定する施設基準は、前年5月1日から当年4月末日までの実績で判定し、6月1日から翌年5月末日まで適用されます。2026年6月からの区分は、2025年5月〜2026年4月の実績で判定されることになります。

集中率とは

調剤基本料の区分を左右する重要な指標が「集中率(処方箋集中率)」です。これは特定の医療機関からの処方箋が、その薬局の全処方箋受付回数に占める割合を指します。

集中率が高い=特定の医療機関に依存している薬局、という評価になり、基本料の区分が低くなります。


2026年 薬局 基本料:全区分の点数変更一覧

調剤基本料の点数引き上げ

2026年改定では、すべての調剤基本料が引き上げられました。賃上げ・物価高騰対応の原資としての位置づけです。

区分改定前(2024年度)改定後(2026年度)増減
調剤基本料145点47点+2点
調剤基本料229点30点+1点
調剤基本料3イ24点25点+1点
調剤基本料3ロ19点20点+1点
調剤基本料3ハ35点37点+2点
特別調剤基本料A5点5点据置
特別調剤基本料B3点3点据置

注目ポイント:基本料1と3ハの引き上げ幅が+2点と大きく、面分業を推進している薬局大手チェーンでも敷地外で運営している薬局への評価が手厚くなっています。一方、特別調剤基本料A・Bは据置であり、敷地内薬局との点数格差はさらに拡大しました。


各区分の算定要件を詳しく解説

調剤基本料1(47点):面分業薬局の基本

調剤基本料1は、基本料2・3・特別調剤基本料のいずれにも該当しない薬局に適用されます。言い換えると、処方箋の集中率が低く、特定の医療機関に過度に依存していない「面分業」型の薬局が該当します。

調剤基本料1を算定できる主な条件:

  • 特定の医療機関への集中率が85%以下(受付回数による)
  • グループ全体の処方箋受付回数が月3万5千回以下(3万5千回超の場合は集中率95%以下)
  • 医療機関と不動産賃貸借関係がない
  • 都市部の新規開設薬局の場合は追加条件あり(後述)

地域のかかりつけ薬局として面分業を展開している薬局の多くは、引き続き基本料1を算定できます。

調剤基本料2(30点):適用範囲が大幅に拡大

今回の改定で最も変化が大きいのが調剤基本料2です。従来の適用条件に加え、新たな条件が追加され、対象となる薬局が大幅に増加します。

調剤基本料2の算定要件(2026年改定後):

条件処方箋受付回数集中率備考
従来条件1月2,000回超〜4,000回以下85%超改定前は月4,000回超かつ70%超
従来条件2月4,000回超70%超据置
新設条件1月1,800回超〜2,000回以下85%超〜95%以下今回新設
新設条件2(都市部)月600回超85%超都市部の新規開設薬局が対象
新設条件3(グループ)グループ月3.5万回超〜40万回以下95%超グループ要件で新たに追加

都市部新規開設薬局への適用

特に注意が必要なのは都市部の新規開設薬局に対する条件です。東京23区・政令指定都市に新規開設した薬局で、集中率85%超かつ月600回超の場合、基本料2が適用されます。

対象となる都市部: 札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市

ただし、既存薬局には経過措置が設けられており、継続的に月1,800回以下であれば当面の間、基本料1を維持できます。

医療モール内薬局の集中率計算の変更

医療モール内の薬局では、複数の医療機関からの処方箋を合算して集中率を計算するルールが導入されました。これにより、医療モール内で複数の医療機関から処方箋を受け付けていても、そのモール内の医療機関全体を「1つの医療機関」とみなして集中率が計算されます。

実質的に、医療モール内薬局は門前薬局と同等の評価を受ける可能性が高まっています。

調剤基本料3イ(25点):中規模グループ薬局

算定要件:

  • 同一グループの処方箋総受付回数が月3万5千回超〜40万回以下
  • かつ集中率95%超(または不動産取引等の特別な関係がある場合)

従来は「300店舗以上」といった店舗数要件も判定基準に含まれていましたが、今回の改定で店舗数による判定は廃止され、処方箋の総受付回数のみで判定される方式に変更されました。

調剤基本料3ロ(20点):超大規模グループの敷地内薬局

算定要件:

  • 同一グループの処方箋総受付回数が月40万回超
  • かつ集中率85%超

超大規模チェーンの門前・敷地内薬局が該当します。

調剤基本料3ハ(37点):超大規模グループの面分業薬局

算定要件:

  • 同一グループの処方箋総受付回数が月40万回超
  • かつ集中率85%以下

大手チェーンに属しながらも面分業を実践している薬局が対象です。+2点の引き上げにより37点となり、大手チェーン内でも面分業薬局を優遇する方向性が明確になりました。

グループ薬局要件の変更:店舗数から処方箋数へ

判定方式旧制度新制度
基準店舗数(300以上等)+処方箋数処方箋総受付回数のみ
影響分社化等で回避可能だった事業規模が直接反映される

この変更により、グループ再編や分社化では基本料区分の回避が困難になりました。処方箋数というフロー指標での判定は、薬局グループの実態をより正確に反映する仕組みです。


特別調剤基本料:敷地内薬局への厳しい評価

特別調剤基本料A(5点)

特別調剤基本料A(5点)は、主に敷地内薬局を対象とした最も低い基本料です。

適用要件:

  • 医療機関との間に不動産賃貸借関係等の特別な関係がある
  • 特定の医療機関からの処方箋集中率が50%超

特別調剤基本料Aが適用されると、基本料はわずか5点(50円)しか算定できません。さらに、地域支援・医薬品供給対応体制加算等の各種加算も本来の10%の点数でしか算定できないという厳しい制約があります。

へき地特例

ただし、以下のすべてを満たす場合は、特別調剤基本料Aではなく基本料1(47点)を算定可能とする特例が設けられています。

  • 地方公共団体が所有する土地に所在する公的医療機関の敷地内にあること
  • 都道府県知事がへき地等における医療拠点として認めていること
  • 半径4km以内に他の保険薬局が存在しないこと

特別調剤基本料B(3点)

特別調剤基本料B(3点)は、施設基準の届出を行っていない薬局に適用される最低の基本料です。

適切な届出を行っていない薬局に対するペナルティ的な位置づけであり、すべての薬局は最低限の届出を確実に行う必要があります。

かかりつけ機能未実施時の減算

調剤基本料には、かかりつけ機能に関する減算ルールも定められています。

以下のいずれかに該当する薬局で、処方箋受付回数が月600回超の場合、基本料から13点が減算されます。

  • 医薬品の取引価格の妥結率が5割以下
  • 必要な報告を行っていない
  • 薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務を1年間実施していない

この減算は、単に処方箋を受け付けるだけでなく、かかりつけ機能を果たすことが調剤基本料の前提条件であることを示しています。かかりつけ薬剤師制度の変更点の全体像は【かかりつけ薬剤師】2026年制度の全変更点を徹底解説をご覧ください。


門前薬局等立地依存減算:2026年最大の新設項目(-15点)

概要

2026年改定で最も注目される新設項目が「門前薬局等立地依存減算」です。対象薬局の調剤基本料から15点が減算されます。

この減算は「門前から地域へ」という薬局ビジョンの実現を加速させるために導入されたもので、立地に依存した経営モデルからの脱却を促す強いメッセージです。

対象となる薬局の要件

門前薬局等立地依存減算は、以下のいずれかに該当する薬局に適用されます。

パターン1:都市部の密集地域に所在する薬局

以下のすべてを満たす場合:

  • 対象都市部(東京23区・政令指定都市)に所在
  • 水平距離500m以内に他の保険薬局がある
  • 特定の医療機関への集中率が高い
  • さらに以下のいずれかに該当:
    • 200床以上の病院から100m以内で、同エリア内に他薬局が2つ以上
    • 薬局の周囲50m以内に他薬局が2つ以上
    • 周囲50mの他薬局が上記に該当

パターン2:医療機関と同一建物・敷地内の薬局

  • 特定の医療機関への集中率が85%超
  • 医療機関が所在する建物または敷地と同一の建物内・敷地内に所在

重要な除外規定

特別調剤基本料Aの薬局は立地依存減算の対象外です。これは、特別調剤基本料A(5点)が既に十分に低い水準であるためです。

減算の影響シミュレーション

立地依存減算が適用された場合の点数を確認しておきましょう。

区分通常の点数減算適用後実質的な減少額(1回あたり)
基本料1(47点)470円320円(32点)-150円
基本料2(30点)300円150円(15点)-150円
基本料3イ(25点)250円100円(10点)-150円
基本料3ロ(20点)200円50円(5点)-150円
基本料3ハ(37点)370円220円(22点)-150円

特に基本料2に該当した上でこの減算が適用されると、実質15点(150円)という極めて低い水準になります。基本料3ロではわずか5点と、特別調剤基本料Aと同水準まで低下します。


基本料に関連する新設加算

調剤ベースアップ評価料

薬局スタッフの賃上げ原資を確保するための新設加算です。処方箋受付1回につき算定でき、段階的に引き上げられます。

時期点数
2026年6月〜2027年5月処方箋受付1回につき 4点
2027年6月以降処方箋受付1回につき 8点

この加算は、調剤基本料の引き上げとは別に算定できるため、薬局の収入増に直接寄与します。特に2027年6月以降は8点に倍増し、基本料引き上げ分と合わせると大きな増収要因となります。

調剤物価対応料

物価上昇(光熱費、消耗品等)への対応として新設された加算です。

時期点数
2026年6月〜2027年5月3月に1回 1点
2027年6月以降3月に1回 2点

3月に1回の算定であるため影響額は小さいですが、基本料と連動する加算として位置づけられています。


地域支援・医薬品供給対応体制加算との関連

基本料区分と加算の関係

2026年改定では、従来の地域支援体制加算後発医薬品調剤体制加算が統合され、新たに「地域支援・医薬品供給対応体制加算」として5段階に再編されました。

この加算は調剤基本料と密接に関連しており、基本料の区分によって算定できる加算の水準が変わる場合があります。

区分点数主な要件
加算127点地域における安定供給体制+後発医薬品使用割合85%以上
加算259点地域医療への一定の貢献実績
加算367点地域医療への相当な貢献実績
加算437点医薬品供給体制の実績評価
加算559点より高い水準の供給体制

特別調剤基本料A算定薬局の制約

特別調剤基本料A(5点)を算定している薬局は、地域支援・医薬品供給対応体制加算を本来の10%の点数でしか算定できません。例えば、加算3(67点)に該当しても、実際に算定できるのは約7点にとどまります。

この制約により、特別調剤基本料Aの薬局は基本料だけでなく加算面でも大幅な収入減となり、敷地内薬局の経営に対する制度的な圧力がさらに強まっています。

後発医薬品調剤体制加算の統合廃止

従来の後発医薬品調剤体制加算は単独の加算としては存在しなくなり、地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されました。後発品の使用割合だけでは加算が取れなくなり、地域への貢献実績や医薬品供給体制の実績も求められるようになった点は、基本料の改定方向性と一致しています。


薬局タイプ別の影響分析と収益シミュレーション

タイプ1:地域密着型の個人薬局(面分業・基本料1)

前提条件: 月1,500枚受付、集中率55%、基本料1算定

項目計算年間影響額
基本料+2点1,500枚 x 2点 x 10円 x 12月+36万円
ベースアップ評価料4点1,500枚 x 4点 x 10円 x 12月+72万円
調剤物価対応料1点1,500枚 x 1点 x 10円 x 4回+6万円
合計(初年度)+114万円
合計(2027年6月〜)ベースアップ8点化+186万円以上

面分業で集中率が低い個人薬局は、今回の改定で最も恩恵を受けるタイプです。立地依存減算の影響を受けず、基本料と新設加算の両方でプラスになります。

個人薬局の詳細戦略は【個人薬局向け】2026年調剤報酬改定で変わる経営戦略をご覧ください。

タイプ2:門前薬局(基本料2に転落するケース)

前提条件: 月1,900枚受付、集中率90%、現在は基本料1→改定後は基本料2

項目計算年間影響額
基本料1→2への転落1,900枚 x (30-45)点 x 10円 x 12月-342万円
ベースアップ評価料4点1,900枚 x 4点 x 10円 x 12月+91.2万円
調剤物価対応料1点1,900枚 x 1点 x 10円 x 4回+7.6万円
合計(初年度)-243.2万円

基本料2への転落は、新設加算では到底カバーできない大幅な減収をもたらします。集中率を85%以下に引き下げることが最優先の経営課題となります。

タイプ3:門前薬局+立地依存減算適用

前提条件: 月2,000枚受付、集中率92%、都市部500m以内に他薬局あり、基本料2+立地依存減算

項目計算年間影響額
基本料(減算適用後15点)旧:45点→新:15点として差額-720万円
ベースアップ評価料4点2,000枚 x 4点 x 10円 x 12月+96万円
調剤物価対応料1点2,000枚 x 1点 x 10円 x 4回+8万円
合計(初年度)-616万円

立地依存減算が適用された場合の影響は極めて甚大です。年間600万円以上の減収は、薬局の経営存続に関わる水準であり、早急な対策が必要です。

タイプ4:大手チェーン(複数タイプの店舗を持つケース)

前提条件: 300店舗、グループ月50万回受付

店舗分類店舗数月平均受付区分変化年間影響額
面分業店舗(基本料3ハ)180店1,500枚+2点+6,480万円
門前店舗(減算対象)60店2,000枚-15点-2億1,600万円
基本料2転落店舗40店1,900枚基本料1→2-1億5,504万円
敷地内(特別A)20店2,500枚据置0
グループ合計300店-3億624万円

ベースアップ評価料や物価対応料による増収を加味しても、門前依存度の高いチェーンほど大きなマイナスインパクトを受けます。

大手チェーンの詳細戦略は【大手チェーン薬局向け】2026年調剤報酬改定の経営インパクトを、中小グループ薬局の方は【中小グループ薬局向け】2026年調剤報酬改定の対応戦略をご覧ください。

タイプ5:敷地内薬局(特別調剤基本料A)

前提条件: 月2,500枚受付、特別調剤基本料A(5点)

項目計算備考
基本料5点(据置)一般薬局(47点)との差は42点
地域支援加算(67点の10%)約7点通常薬局は67点
ベースアップ評価料4点通常どおり算定可
1回あたり合計約16点通常薬局は約122点(47+67+8)

敷地内薬局は基本料5点に加え、各種加算も10%でしか算定できないため、処方箋1回あたりの報酬が通常薬局の7分の1以下という水準です。ただし、処方箋枚数が非常に多いため、トータルの売上では成立するビジネスモデルとなっています。

へき地特例に該当する場合は、基本料1(47点)を算定できるため、地方の公的敷地内薬局では必ず要件を確認しましょう。


2026年 薬局 基本料を踏まえた対策・アクションプラン

施行日までにやるべきこと(〜2026年6月)

1. 自局の基本料区分をシミュレーションする

まず、2025年5月〜2026年4月の実績(処方箋受付回数・集中率・グループ処方箋総数)をもとに、2026年6月以降の基本料区分を正確にシミュレーションしましょう。

確認すべきポイント:

  • 集中率は85%を下回っているか
  • 月受付回数の閾値(600回、1,800回、2,000回、4,000回)にどれだけ近いか
  • グループ全体の処方箋数と集中率
  • 立地依存減算の要件に該当するか

2. 集中率の引き下げ施策を開始する

集中率85%超で基本料2への転落リスクがある薬局は、今すぐ面処方箋の獲得施策を開始する必要があります。

具体的な方法:

  • OTC医薬品・健康相談の充実による来局者の多様化
  • 複数の医療機関との連携強化
  • 在宅医療への参入による処方元の多角化
  • 地域住民向けの健康イベント・お薬相談会の開催

3. かかりつけ機能の実績を確保する

かかりつけ機能未実施による13点減算を回避するため、かかりつけ薬剤師としての基本業務を確実に実施していることを確認しましょう。

中期的な経営戦略(2026年〜2028年)

4. 地域支援・医薬品供給対応体制加算の取得を目指す

基本料の区分見直しと併せて、地域支援・医薬品供給対応体制加算の上位区分の取得を目指しましょう。加算2(59点)や加算3(67点)が取得できれば、基本料の減少を大幅にカバーできます。

5. 店舗ポートフォリオの見直し

特に複数店舗を持つグループ薬局では、門前依存度の高い店舗の位置づけを根本的に見直す時期です。

  • 新規出店は面分業エリア・地域密着型を優先
  • 門前依存度の高い既存店舗は機能転換を推進
  • 不採算の門前店舗については撤退・移転も選択肢に

6. 医療DX投資の推進

電子処方箋への対応やバイオ後続品の取り扱い拡大など、DX投資を通じた加算取得も基本料の減少をカバーする手段となります。


調剤基本料の変遷:過去の改定との比較

2026年の薬局基本料改定をより深く理解するために、過去の改定との比較を見ておきましょう。

年度基本料1基本料2特徴的な変更
2018年(H30)41点25点地域支援体制加算の新設
2020年(R2)42点26点特別調剤基本料の細分化
2022年(R4)42点26点据置(改定率±0%)
2024年(R6)45点29点特別調剤基本料B新設、敷地内薬局規制強化
2026年(R8)47点30点立地依存減算新設、基本料2拡大、グループ要件変更

基本料1は過去8年で41点→47点と14.6%の上昇を見せています。一方で、門前・敷地内薬局への制度的圧力は改定のたびに強化されており、「面分業を進める薬局は評価し、立地依存の薬局は是正する」という政策方向は今後も継続すると考えられます。


よくある質問(Q&A)

Q1. 基本料1を維持するための集中率の目安は?

集中率85%以下が基本的なラインです。ただし、月受付回数が2,000回超の場合はさらに厳しい基準が適用される可能性があるため、80%以下を目指すのが安全圏といえます。

Q2. 立地依存減算は全国の薬局が対象ですか?

いいえ。立地依存減算のパターン1(密集地域要件)は東京23区と政令指定都市が対象地域です。ただし、パターン2(同一建物・敷地内)は地域を問わず適用されます。

Q3. 特別調剤基本料Aの薬局にも立地依存減算は適用されますか?

いいえ。特別調剤基本料A(5点)の薬局は立地依存減算の対象外です。既に5点という十分に低い水準であるためです。

Q4. 都市部で新規開設する場合、基本料1を維持する方法はありますか?

都市部での新規開設でも、集中率を85%以下に保つことで基本料1を維持できます。開局前の段階から面分業を前提とした立地選定とマーケティング戦略を策定することが重要です。

Q5. グループ処方箋数の判定で、店舗数は完全に無関係になりましたか?

はい。2026年改定により、店舗数による判定要件は完全に廃止され、処方箋の総受付回数のみで判定されます。


まとめ:2026年 薬局 基本料の改定は「立地から機能へ」の転換点

2026年の薬局基本料改定のポイントをまとめます。

  1. 全区分の基本料が引き上げ:基本料1は47点(+2)、基本料3ハも37点(+2)と、面分業薬局が優遇
  2. 基本料2の適用拡大:集中率・受付回数の閾値変更、都市部新規開設要件の追加で対象薬局が大幅に増加
  3. 門前薬局等立地依存減算(-15点)の新設:都市部の門前薬局や医療モール内薬局に大きなインパクト
  4. グループ要件の変更:店舗数から処方箋総数へ一本化。分社化での回避が困難に
  5. 特別調剤基本料:A(5点)は据置、B(3点)も据置。敷地内薬局との格差はさらに拡大
  6. 新設加算:ベースアップ評価料(4〜8点)、物価対応料(1〜2点)で底上げ

今回の改定が発するメッセージは明確です。立地に依存するのではなく、地域に根差したかかりつけ機能を発揮する薬局を評価するという方向性は、今後の改定でもさらに強化されると予想されます。

2026年6月の施行まで時間は限られています。自局の基本料区分を正確にシミュレーションし、集中率の引き下げや地域貢献体制の構築など、具体的なアクションを今すぐ開始することが求められています。


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